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メモリーズオフ小説部屋
最後の再会 双子編・天使の青空



S.S.『最後の再会』
メインストーリー
タイトル【天使の青空】
【双子編】【第1楽章】


【8月1日】
【場所・二宮家、晶部屋】
【進行人物・二宮晶】


俺は…
どうしたら……

そう悩んでると…

裸の真奈美が、僕の上に覆いかぶさって来た………


(晶)
『覆いかぶさって来た……………?』
(晶)
『!!!』

僕はどうしたら良いのか分からないまま……
まるで、真奈美に魔法をかけられてるみたいに、動けなくなっていた。

そして……
真奈美は、僕を見ながら……体を寄せて…腕を首に絡ませ抱きつくような形になり………
安心したかのような表情になっていった……
そして……
ホットチョコのような甘く苦い温もりが唇に広がった。

すごく暖かい真奈美は……そのまま………

眠ってしまった………

眠ってる真奈美は、まるで絵本に出てくるような、
天使の寝顔みたいだった。

(晶)
『真奈美………』

僕は、真奈美にタオルケットを掛けて、
デスクチェアーに座り、真奈美の、無防備な寝顔を見ていた。

やっぱり真奈美を、幸せに出来るのは、きっと僕なのかもしれない。

僕は、この時決めた。


(晶)
『真奈美は、絶対に俺が守る!そして、絶対に幸せにする』

僕は、必ずこの事を守る事にした。


(晶)
『……腹へったなぁ〜……』

そう思っていると、お腹の音が、鳴っていた……。

僕は、何か食物を探そうと、部屋のドアに手を掛けた時、ふと、机の上に置いてある巾着袋に、目が入った。


(晶)
『巾着袋?俺、こんなの持ってたっけ?』

よく見ると、中は弁当箱の様だ。


(晶)
『う〜ん……真奈美のかな?……中が気になる』

僕は、弁当箱の中を見てみる事にした。


(晶)
『………うぉ♪うまそぅ〜♪……食べてぇ〜♪…って!食べたらダメだろ!真奈美のなんだし……』

僕は、真奈美の弁当を見て、ますます腹が減った。


(真奈美)
『……うぅん……食べて良いよぅ……』
(晶)
『!!真奈美?!』

真奈美が、起きた。


(真奈美)
『…おふぁ〜よう〜……いつのまにか、私、寝てたんだね……』
(晶)
『あぁ』
(真奈美)
『ん?食べて良いよ……お弁当…………晶君のために、作って来たんだから……』
(晶)
『えっ?良いの?』
(真奈美)
『良いよ♪……ねぇ?晶君』
(晶)
『ん?何?』

真奈美は、タオルケットで体を隠し、恥ずかしがりながら、こう言った。


(真奈美)
『あっ……あのね…。あ〜ん♪って、しちゃダメかな?』

僕は、もちろんこう言った。

(晶)
『良いよ♪』

すると、真奈美はまるで、向日葵が、咲いたみたいな嬉しそうな顔で……

(真奈美)
『やった♪私嬉しいよぅ♪じゃあ……何が食べたい?晶君の好きな海老フライかな?』
(晶)
『うん♪』

そして真奈美は、箸箱から朱色の箸を出して、海老フライを掴み、そのまま、僕の口元に持ってきた。
真奈美は、何か緊張しているみたいだった。


(真奈美)
『はっ…はい!晶君!くっくく口を…開けて!』

僕は……

(晶)
『ぷっ!ふははははぁ!!』
(真奈美)
『晶君!?』

真奈美は、困った顔をしている。
何故、笑われたのか気付いてないみたいだ。


(晶)
『だって!食べさせるぐらいで…緊張し過ぎだよ!ぷっ…ふはは♪』
(真奈美)
『あぁ!…晶君…笑うなんてひどいんじゃないかな!?しょうがないじゃない!こんなの、初めてなんだから……』

真奈美は、頬を膨らませながら、そう言った。


(真奈美)
『もう〜!!晶君なんか知らない!』
(晶)
『ごめんごめん!もう笑わないから!』

僕は、平謝りしながらそう言った。

(真奈美)
『うふふ♪もう良いよ♪…………晶君!はい♪あ〜ん♪』

真奈美は、再度、箸に海老フライを摘んで、僕の口元に運んできた。


(晶)
『あ〜ん!』
(パクッ!もぐもぐ…)

(真奈美)
『どうかな?晶君?』

真奈美は、上目遣いで訊いてきた。


(晶)
『うん♪美味いよ♪』

真奈美は、不満そうに……

(真奈美)
『それだけなの?』

と、言った。
感想を、聞きたいのだろうか?
しかし、実は僕、感想を言うのが、下手だったりする………。
でも、ここは何かを言ったほうが良いのかな?


(晶)
『海老フライ界の、逆イナバウアーやぁ!!』

僕は、某グルメレポーターみたいに、言ってみた。
…………………。

(真奈美)
『…………』

今、言った事に後悔した。真奈美は、こういうのは苦手だった。

一瞬で、僕の部屋は凍りついていた。
真奈美は、冷たい目で、僕を見て、一歩、また一歩という感じで、下がって行った……。

ってか!そんな目で、見ないでくれぇ〜……。

僕は、穴があったら入りたい状況になっていた。

真奈美は、苦笑いをしながらこう言った。


(真奈美)
『あっ…あははは……ごめんね……こう言うの、晶君には愚問だったね……あははは…はぁ〜……』
(晶)
『はぁ〜…もう良いよ真奈美…悪いのは、俺が変なコメントしたからだしさ…。あはっ…ははは…』


ちょっと白けてしまった…………。
っとそこに……


(美紀)
『晶♪真奈美ちゃん♪おはよう♪』

美紀姉さんが、やって来た。

(晶)
『姉さん。おはよう』
(真奈美)
『晶君のお姉さん♪おはようです♪』


【8月1日】
【場所・二宮家、晶部屋】
【進行人物・二宮美紀】


(美紀)
『うん♪二人とも元気そうだね♪』

………何で?真奈美ちゃんは、裸なの?
とは…………言いにくいかな?


(美紀)
『ふふふ……』

真奈美ちゃんも……………以外とおとなしそうに見えて、大胆なんだ…。
まっ!晶も、真奈美ちゃんも、多感なお年頃って事なのかな?(笑)
青春だねぇ〜♪

私は晶に、肘で突きながら、耳元で小さく言った。


(美紀)
『晶も、隅に置けないなぁ♪』
(晶)
『なっ!何だよ!姉さん?』
(美紀)
『晶も、到頭、大人の男になったんだねぇ〜♪』
(晶)
『はぁ?姉さん!別に俺はそんな事なんかしてないよ!!』
(美紀)
『えっ!?違うの?』
(晶)
『違うよ!』

っと晶は、大声で手をバタバタさせながら否定した。


(真奈美)
『あっあのぅ〜?姉弟で、何のお話を?』
(晶)
『いっ!いや!何でもない世間話さ!』

っと言った。
私は、馬に蹴られる存在かな?(笑)
ちょっと、晶と遊びたかったんだけどなぁ……。
この頃、真奈美ちゃんが、良く来るようになったなぁ………。
晶も私に、甘えなくなってきたり、頼らなくなってきたし………。

……………。

晶………

私は、この時、
胸の辺りが、疼く(うずく)様な痛みに襲われた。

晶が、真奈美ちゃんに、取られると、思ってしまっていた……。
私、何考えてるんだろう………。
弟の幸せを、願わないような姉なんか……居ない。壊す様な事……出来る訳…が………
ふと、目頭が熱くなってきた。
こんな最低な私、晶になんか見られたくない。


(美紀)
『……そっ…それじゃ…』
(晶)
『姉さん?』

笑顔笑顔……。
私は、精一杯、笑顔を作った。


(美紀)
『真奈美ちゃん♪………ゆっくりしていってね………♪』
(真奈美)
『は、はい!』

私は、ゆっくり晶の部屋の、ドアを閉めた。

その後、私は……一日中泣いてしまっていた。



【8月1日】
【場所・二宮家・晶部屋】
【進行人物・二宮晶】


なんか………姉さんの様子が、おかしかったなぁ……後で、様子を見に行くか…………。

僕は、真奈美の弁当を、綺麗に残さず、全て美味しく食べた。

食べ終わった僕に、真奈美は、こう言った。


(真奈美)
『ねぇねぇ?晶君?』
(晶)
『ん?何?』
(真奈美)
『美味しかった?』
(晶)
『うん!美味しかったよ♪』

真奈美は、嬉しそうに。

(真奈美)
『えへへ♪こんなに、綺麗に食べてくれると、嬉しいよぅ♪』

と、言った。

(真奈美)
『あっ!そうだ!』

真奈美は、思いついた様に、そう言った。

(晶)
『ん?何?』
(真奈美)
『今日、海行かない?』

突然、真奈美は楽しそうにそう言って来た。

(晶)
『いきなりだな……』
(真奈美)
『だって……夏って、言ったら…海ぃ……でしょ?』

真奈美は、右手の人差し指を上に向け、まじまじとした顔で、僕に訊いてきた。

(晶)
『………。』
(真奈美)
『………?。あれ?違った?』
(晶)
『ううん!!違ってないよ!うんうん!夏と言ったら、海だよね!』
(真奈美)
『うっ…うん……』
(真奈美)
『ねぇ〜晶君?』

真奈美は、顔を近付けてきた。

(晶)
『ん?』
(真奈美)
『晶君、大丈夫?体調が悪いとか?』
(晶)
『いや……体調は、悪くないよ』
(真奈美)
『まっ!いっか!……それで、晶君、海に行く?』
(晶)
『あぁ!どうせ、予定無いし♪』

すると真奈美は、少し呆れた顔で、こう言った。

(真奈美)
『はぁ〜……晶君……夏期課題の勉強を、忘れてない?』
(晶)
『あっ!忘れてた……。』
(真奈美)
『まっ!どうせ…晶君の事だから、しないんだろうけど………』


PPP〜♪

(真奈美)
『携帯電話鳴ってるよ。晶君』
(晶)
『あっ!本当だ!ちょっと失礼!』

俺は、携帯電話のディスプレイを、見た。
そこにあった名前は……
(幹也)
だった。
ちなみに幹也は、俺たちと違って進学せず、フリーターを、やっている。


(晶)
『はい!もしもし』
(幹也)
『おぅ!晶ぁ〜♪久しぶりだなぁ!元気かぁ?』

相変わらず明るい奴だ。

(晶)
『あぁ!元気さ!』
(幹也)
『そうか!そりゃよかった♪ところで、晶!』
(晶)
『何だ?』
(幹也)
『海行かねぇか?ちょうど、俺のダチが、行こうってうるさいんだよ……。』
(晶)
『偶然だなぁ!真奈美も行かない?かって、言ってたんだよ!』

すると、幹也がさらに、ハイテンションになり……

(幹也)
『おっ!そうなのか!!あっはぁぁ〜!いやぁ〜♪ぜひ!真奈美ちゃんも、連れてきてくれ!』

何故に、ハイテンション何だ?
もしかして、何か意図があるのか?

(晶)
『つかの事訊くが……性別と人数構成は?』
(幹也)
『何か、疑ってないか?別に、真奈美ちゃんには、手は出さねぇよ……。ちなみに、人数構成は、俺を入れて男二人かな?』

男二人かぁ……。

(晶)
『ちなみに、その一人は俺の知ってる人?』
(幹也)
『んいや!晶は知らないと思うぜ!』
(晶)
『名前は?』
(幹也)
『インドマン!』

幹也は、苦笑しながらそう言った。

(晶)
『インドマン?本名?』
(幹也)
『んな訳無いだろ!名前は、(稲穂信)』
(晶)
『稲穂信……。知らないなぁ…。』
(幹也)
『まっ!来るなら現地集合だな!場所は、[メモリービーチ]に、一時な!昼飯は、お前どうする?』
(晶)
『幹也は?』
(幹也)
『俺は、外で食うよ』
(晶)
『じゃあ一緒に食おう!』
(幹也)
『分かった!んじゃあ合流したら、食いにいこう』
(晶)
『了解♪』
(幹也)
『んじゃ!浜でな!』
(晶)
『あぁ♪』

ブツッ……ツー…ツー…


(真奈美)
『おかえりぃ♪電話、誰からだったの?』
(晶)
『幹也からだったよ』

すると、真奈美がビックリした様子で、こう言った。
(真奈美)
『えっ!山川君からだったの!?なんで晶君、電話代わってくれなかったの?』
(晶)
『……ごめん』
(真奈美)
『それで、山川君は何の用事で、電話を掛けてきたの?』
(晶)
『海に行かないか?って……と言うか、もう決めてるんだ』
(真奈美)
『えっ?じゃあ、丁度良いじゃない♪行こうよ』
(晶)
『あぁ』

と言う事で、僕と真奈美で、海に行く事にした。
真奈美は、水着を持ってきていないらしく、水着を取りに行く事にした。


【8月1日】
【場所・住宅街】
【進行人物・川口真奈美】

♪〜♪
(真奈美)
『♪〜』
なんか、今日は楽しいなぁ〜♪
海〜♪久しぶりだなぁ♪
新しい水着、晶君を、骨抜きにできるかな?
晶君どんな反応するんだろう?

(晶)
『何か、凄く楽しそうだなぁ?』
(真奈美)
『えっ♪うん♪凄ぉ〜く楽しいよぅ♪』

すると晶君が、少し呆れながら、こう言った。

(晶)
『でも……少し抑えた方が良いと思うよ……。』
(真奈美)
『ん?何で?』
(晶)
『だって……、真奈美……、何かの舞って感じで、激しく舞ってるんだよ……。周りの人達みんな見てるよ…。』
(真奈美)
『へっ?』

私、無意識にそんな事……。
よく周りを見ると、通勤中のサラリーマンや、OLの人が、苦笑いしながら横を通って行った。


…………。

………。

……。

!!

恥ずかしいよぉ!!
私は、その場が恥ずかしくて、走って逃げ出した。

(真奈美)
『ひぃ〜ん!!』
(晶)
『おっ!おい!真奈美!?』

私は、顔から火が出ても良いぐらい、恥ずかしかった。


【8月1日】
【場所・川口家】
【進行人物・二宮晶】



真奈美の家にやって来た。真奈美の家は、ごく普通の二階建て一軒家。
中は、まさに普通。


(晶)
『お邪魔しまぁす……』

僕は何故か、小さい声で発言していた。

(真奈美)
『ん?どうぞどうぞ。ちょっと、水着取ってくるから待っててね』
(晶)
『あぁ。………。なぁ?真奈美?親父さん居ないの?』

真奈美は、ら旋階段から顔を覗かせながらこう言った。

(真奈美)
『うん。居ないよ。』
(晶)
『ふぅ〜…、そう…』
(真奈美)
『退屈ならリビングで、テレビでも見ててね』

そう言いながら、真奈美は二階に行った。

さて、どうしようかな?

…………。

………。

どうせなら少し探険してみるか……。
(良いのかな?)
と、思いつつ探険した。


まず二階から見てみた。
真奈美の部屋を右に見て、そのまま突き当たりの部屋に入ってみた。

(晶)
『失礼しまぁ〜す…』

中を見ると……。

(晶)
『女の子の部屋?』

そう……、
一目見てそう思った。
しかし……、真奈美の部屋は、隣だよな……。
真奈美って姉妹だったのか?
でも、いままで聞いた事無い。
う〜ん………

すると、そこに………

(真奈美)
『晶君!?』
(晶)
『真奈美!!』
(真奈美)
『そっ、そこの部屋に入っちゃダメ!!』

真奈美は慌てて、僕を引きずりながら一階まで、やってきた。

(真奈美)
『待っててって、言ったじゃない!』

真奈美は凄く怒った。

(晶)
『ご、ごめん!……、ところで真奈美って、姉妹だったの?』
(真奈美)
『………』

真奈美は顔を伏せた。
訊いちゃいけなかったのかな?

(晶)
『ごめん……』
(真奈美)
『ううん。良いよ……、別に……。………そうだよ、私には妹が居るの』
(晶)
『そう……』
(真奈美)
『私、双子なんだ』
(晶)
『えっ?』

真奈美は、双子だったのか。
けど一度も見たことが無い。
もしかして………
いや、そんな事聞けないな………。


(真奈美)
『名前は琴音って、言うんだ…』
(晶)
『もしかして…』

真奈美は、首を傾げてこう言った。

(真奈美)
『もしかして?』
(真奈美)
『あぁ!もしかして、死んだとか思ってない?』
(晶)
『えっ……。う、うん……。』
(真奈美)
『もちろん、死んだりなんかしてないよ♪』
(真奈美)
『………。生き別れって言うのかな……。』
(晶)
『生き別れ?』
(真奈美)
『うん。今、お父さんと私が一緒に住んでるでしょ?』

真奈美が言うには………

真奈美は、小さい頃。
真奈美の父親「正彰」が、浮気した事で、
真奈美の母、「琴美」が、離婚届けを突き付けたらしい。
その時の「真奈美」「琴音」は、まだ小さく、真奈美は、よく覚えていないと言っていた。

その時、真奈美の母「琴美」が、慰謝料等を請求しなかったらしく、養育費関係で、一人しか引き取れなくなり、
父親が、「真奈美」を育てることになり、
母親が、「琴音」を引き取る事になったらしい。

その事以来、真奈美は一度も母親と、琴音には会っていないんだそうだ。


(真奈美)
『と、言うわけなの……』
(晶)
『そうだったのか』

真奈美に、そんな過去があったんだなぁ。

そして真奈美は、いきなり笑顔になり……。


(真奈美)
『もぅ、この話はいいでしょ……。さっ!海ぃ〜海♪』

真奈美は、凄く嬉しそうに玄関に向った。
と、その時だった。


(ドテン!!)

思いっきりずっこけてしまった………。

(晶)
『おっおい!大丈夫か?真奈美?』
(真奈美)
『痛たた……』

どうやら、顔面からこけたらしく、真奈美は、鼻を抑えていた。

(真奈美)
『えへへ♪……こけちゃいました♪……うぅ…(泣)』

かなり、痛そうだ。
無理して笑いながら、泣いている……。

(晶)
『えへへ♪じゃないよ……。……真奈美ぃ?』
(真奈美)
『何?』
(晶)
『鼻血出てるぞ』
(真奈美)
『えっ?本当?』

真奈美は慌てて鼻の下に手を当てて、その手を見た。

(真奈美)
『あぁ!………』
(真奈美)
『ごめん!ちょっと待っててね!』

そう言うと、真奈美は慌ててどこかに行った。

3分後………

(真奈美)
『お待たせぇ〜!』

真奈美は、何事も無かったかのように、やってきた。
まだ、少し鼻が赤かった。

(晶)
『大丈夫か?』
(真奈美)
『うん♪大丈夫………と、言いたいけど……』
(晶)
『言いたいけど?何?』

真奈美は、足首を抑えながら言った。


(真奈美)
『昨日、交通事故に遭いかけたよね。』
(晶)
『あぁ』
(真奈美)
『その時、足首痛めたでしょ?多分そのせいで、こけたんだと思うの』
(晶)
『あぁ!そう言う事か!……待てよ…それじゃ海行けないんじゃ?』
(真奈美)
『ううん。大丈夫だよ。ほら、この通り……』

真奈美は、ジャンプした。少し痛そうにしてるが、どうしても、海に行きたいらしく、仕方なくOKする事にした。


(真奈美)
『ねっ!大丈夫でしょ?』
(晶)
『わっ、分かったよう』
(真奈美)
『そうと決まればレッツらゴーです♪』

こうして、真奈美と俺は、地下鉄に乗り、幹也が待つメモリービーチに、行く事にした。


【8月1日】
【場所・河崎市営地下鉄、普通列車3号車内】
【進行人物・羽田美香】


(美香)
『はぁ………』

なんで、あんな事したんだろう、私………。
私は、親にお使いを頼まれ、今、その帰りなのである。
今私は、悩んでいた。
今でも信じられない、自分の行動。
こんな後悔するなら、あんな事、やるんじゃ無かった。
そう、私は晶に強引にキスをした事を、凄く後悔している。
(私……真奈美ちゃんと、また仲良く出来るのかな?)
今日一日ずっと、こんな事ばかり考えている。

もう晶は、無理だと思って諦めは、ついてるけど………。

…………。

ふと、右を見たとき……。

(美香)
『あっ……、晶と真奈美ちゃん……』

こんなところで、二人に会うなんて………。

それも、仲良さそうに談笑していた。
そっか……晶と真奈美ちゃん仲直りしたんだ。

私は、居づらくなり、その場を去ろうとした。

(真奈美)
『あれ?美香ちゃん?』

見つかってしまった。

(美香)
『………』

どうしよう……。

(真奈美)
『やっほ♪美香ちゃん』
(美香)
『………』
(真奈美)
『ん?どうしたの?美香ちゃん大丈夫?』
(美香)
『……ごめん…バイバイ』

………。

(真奈美)
『えっ!……ちょっ!ちょっと美香ちゃん!』

私は、隣の車両に逃げ、目的地に着いてないのに、途中下車してしまった。


【8月1日】
【場所・河崎市営地下鉄、普通列車3号車内】
【進行人物・川口真奈美】


行っちゃった……。
やっぱり……気にしてるのかな?
美香ちゃんと、仲直りしなくちゃいけないなぁ……。

(晶)
『ん?どうした、真奈美?』
(真奈美)
『さっき、美香ちゃんが居たの』
(晶)
『えっ!それ本当?』
(真奈美)
『うん!』
(晶)
『それで、何処に行ったんだよ』
(真奈美)
『隣の車両に、走っていっちゃった』

すると晶君は、早歩きで隣の車両に行った。
晶君……、何であんなに必死に訊いてきたんだろ?

私と、数人の乗客だけになった地下鉄の車内。
トンネルを地下鉄の車輪が、軋む音が響くだけで、他の音はしなかった。


(アナウンス)
『海浜前、海浜前です。地下鉄、浜坂線はお乗り換え…………』

えっ!海浜前って降りる駅じゃ……。
降りた方が良いのかな?

結局、降りた私。

しかし………
降りたホームに、晶君の姿は、無かった。

(真奈美)
『はぁ……どうしよう……』

携帯電話なんて持ってないし………。
私が、途方に暮れていると。

(???)
『そこの可愛いお嬢さん!どうなさったんですか?きょろきょろして』

えっ!?
いきなり変な人に、会ってしまった。
いやいや!初対面の人にそんな事思っちゃダメだよね。


見た目は、背が高く、サングラスを掛け、結構、格好良い男性だった。

変わってると言えば、
中央に、
【天下泰平】
(てんかたいへい)
と、書かれたTシャツを着ている事ぐらい。


(真奈美)
『あっ!いや………何でもないです。』
(???)
『ん?何でもなくないだろう』
(真奈美)
『本当に何でもないんです!』
(???)
『そ、そう……。ごめん…。それじゃ俺は、これで!邪魔して悪かったね。』
そう言うと、男性の方は去っていった。

少し恐かった。
あぁ言うのって、ナンパって言うのかな?……。
それとも、人助け?
もし人助けなら……。
かなり失礼な事をしたのかもしれない。


(真奈美)
『あっ!あのぅ!』


私はさっき声を掛けてくれた方に、謝ろうと思って行った。

(???)
『えっ?何?』
(真奈美)
『さっきはごめんなさい』


私は平謝りした。
すると、男の人は………

(???)
『いやいや!別に良いよ。それより頭上げてくれないか?なんか、周りに見られまくってるから……』
(真奈美)
『あっ!ごめんなさい』
(信)
『謝んなくていいよ♪ところで、君は何て言う名前?俺は稲穂信!』

いきなり名前を訊ねられた。
(真奈美)
『えっ!えっと…。川口真奈美です…』
(信)
『へぇ〜♪真奈美ちゃんかぁ♪名前も顔も可愛いね〜♪』

何故かいきなり態度が、変わった。
やっぱりナンパだったのかな……。
ここはどうしたら良いの?

っと、考えていると誰か来た。


(???)
『お〜い!稲穂ぉ〜♪』
(信)
『おぉ〜♪ミッキーじゃねぇか♪』

ミッキー?…………………ミッキー!
もしかして山川君!?

(幹也)
『げっ!稲穂ぉぉぉ!!何で一緒にナンパしようって決めたのに、もぉナンパ成功してたのかよ……。しかも、こんなかわい子ちゃん……って!真奈美ちゃんじゃねぇか!』

やっぱりナンパだったんだ……。
私はあえて無視する事にした。

(真奈美)
『………。』
(幹也)
『あれ?晶は?』
(真奈美)
『知らない…。』
(幹也)
『えっ?どう言う事!?』
(真奈美)
『解んないよぅ!!!………』

私は知らないうちに、泣きながら叫んでしまった。

(幹也・信)
『……っ!!』
(通行人)
『!!』

みんな見ている。

(幹也)
『ごっ、ごめん!気に障ったなら謝るよ……。』
(真奈美)
『……はっ!ごめんなさい……うぅ……』

涙が……涙が止まらないよぅ……。
私、おかしいよぅ…。
ナイフで刺されたように全身が痛い……。

どうにかなっちゃいそうだよ……。


(幹也)
『真奈美ちゃん……』
(信)
『幹也……知り合いか?』
(幹也)
『あぁ』
(信)
『何があったのか知らんが、幹也の知り合いだったら、幹也に任せるよ。俺は、浜に行ってるよ』
(幹也)
『分かった』

信と言う人が、何処かに行った。


【8月1日】
【場所・喫茶店】
【進行人物・山川幹也】


真奈美ちゃんは、あれから全然喋らない。
見てて痛々しぃ。
何があったんだよ……。
俺にはさっぱりだ。

一体晶は、真奈美ちゃんに何したんだ?

(幹也)
『なぁ!!真奈美ちゃん!何があったんだよ!』

少し強く言ってみた。

(真奈美)
『……っ!』

真奈美ちゃんは、体をビクッとさせて、怯えた。
まずかったかな。


【進行人物・川口真奈美】


恐い。
美香ちゃんに晶君を取られたんだ……。
きっとそうなんだよ。
私ってなんて間抜けで、馬鹿なんだろ。
そんなの当たり前だもんね。
あんな人気の無いところでキスなんて……。
そもそも晶君が、美香ちゃんとキスしてるとき万更でも無い感じだった。


私にはしてくれないのに。
もうあの時に、気付くべきだったんだよ。
もぅ……もぅ…どうにでもなってもいい。

死んだって……
美香ちゃんを殺したって……
晶君を殺したっ………

私、何考えてるんだろぅ……。
私にそんな事出来ないよ……。
もぅ……希望も何も無いのかな。


(幹也)
『……真奈美……付き合わないか?』

えっ?

(真奈美)
『いっ!今何て言ったの?』

(幹也)
『俺と、真奈美ちゃんが付き合わないか?って言ったんだよ』
(真奈美)
『……えっ、嘘だよね?』

すると山川君は、笑った。

(幹也)
『本当だとしたら?どう?俺は?』

どう言う事?
山川君おかしくなったの?

(真奈美)
『もぅ!からかわないでよ!冗談なんでしょ!』

すると山川君は……

(幹也)
『じゃあ、本気かどうかは、真奈美ちゃんが、晶と何があったのか聞かせてくれる?』
(真奈美)
『よく解んないよぅ…』
(幹也)
『交換条件だよ。真奈美ちゃんと晶に何があったのか聞かせてくれる代わりに、俺も本気かどうか言うって事だよ』


ますます山川君の言ってる事が解んない。
でも……。

別に隠す事でもないか…。


(真奈美)
『よく解んないけど、話すよ』

私は、昨日と今日あった事を、山川君に話した。


(幹也)
『えっ!?まじかよ?晶と美香が!?許せねぇなぁ!』
(真奈美)
『………』

私は山川君に全てを話した。
山川君は、怒りに満ちた顔で話しをしていた。

(幹也)
『んで、晶は何処なんだよ!』
(真奈美)
『解らないよ……』
(幹也)
『解らない?どう言う事だよ!?今日、此処に来る迄には、晶と居たんだろ?』
(真奈美)
『……うん…』



【進行人物・山川幹也】

くそっ!
真奈美ちゃんを、何でそこまでして苦しめるんだよ。
絶対許さねぇ!晶!

(幹也)
『何処で、別れたんだ?地下鉄の車内か?』
(真奈美)
『うん………』
(幹也)
『何で、離れたんだ?』
(真奈美)
『……………』

真奈美ちゃん……。
もう見たくない。
こんな真奈美ちゃんを……。
目に生気が無く、手は震え、涙の粒が次々と頬を流れていく。

しかし……。
そんな真奈美ちゃんが、羨ましく、愛らしいと、思う自分がいた。


(幹也)
『………。もう………、もう良いよ真奈美ちゃん。ちょっと、場所変えようか?』

俺は、真奈美ちゃんに有無を、言わさず喫茶店から出た。

そして………。


【8月1日】
【場所・鍾乳洞入り口】
【進行人物・川口真奈美】

痛い…山川君が握る手が、痛い…。
強引に連れてこられた場所は、町外れにある鍾乳洞だった。
浜近くから、バスで連れてこられ、一時間程で着いた。
でも……。
此処まで来るのに、いつでも逃げれた私。
何故か、山川君はバスの中で、
(嫌だったら降りてね。)
と何回も訊かれたからだ。
それでも、体は降りようとはしなかった。
何故か、これから起こる事に期待している私が居た……。
もう……山川君に何されてもいい……。

例えば……
(一緒に死なないか?)
(付き合わないか?)
例え、Hな事をされても抵抗も何もしない。
山川君なら……。

山川君が、私の居場所なのかな?

もう自分が何なのかさえ解らなくなっていった。


(幹也)
『チケット買ったから入ろうか?』
(真奈美)
『……うん』

そして……。
私たちは、鍾乳洞の中に入って行った。


【8月1日】
【場所・地下鉄、扇駅】
【進行人物・二宮晶】


(晶)
『おい!美香ぁ!待ってくれ』
(美香)
『何?』

美香は嫌々こちらに向いた。


(美香)
『真奈美ちゃんは?』
(晶)
『真奈美なら……あれ?居ない』

僕は真奈美が当たり前に付いてきてるかと、思っていた。

(美香)
『もしかして、真奈美ちゃん忘れたの?』
(晶)
『そうみたい……』
(美香)
『晶って相変わらず馬鹿だね……真奈美ちゃんに勘違いされちゃうよ』

そうだ。このままだと誤解される。

(美香)
『それで、真奈美ちゃん電車に忘れる程の用事って何?』
(晶)
『いや……美香を、海に誘おうかと』
(美香)
『海?気持ちは嬉しいけど……私、お使い中だから……』

美香は、手に持っている紙袋を見せながら言った。


(晶)
『なら…仕方ないか…』
(美香)
『……うん…ごめんね』

そうこうしている内に、地下鉄が来た。

(美香)
『真奈美ちゃん、ちゃんと向かいに行ってね』
(晶)
『あぁ……迷惑かけたな……真奈美向かいに行ってくるよ』

そして、美香はそのまま駅に残り、地下鉄は走りだした。
真奈美…待ってると良いな……。


第2楽章【愚かな迷い】
へつづく……


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