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メモリーズオフ小説部屋
最後の再会 4.01



【第一楽章・不安と誘惑】

僕の名前は、『二宮晶』
夏の日差しが、強くなってきた7月最後の夏。
学校は、終業式。
僕は、そんな終業式を、待っていた生徒の一人。
仲が良い友人達と、別れながら、僕の彼女、川口真奈美に会うため真奈美の、席に向っていた。

真奈美は、机の中を整理していたらしく、テスト用紙やらいろんな物を、紙袋に詰めていた。

(晶)
『よう!真奈美!』

すると真奈美は、

(真奈美)
『うん・・・』

と、そっけない返事を、返してくる。

(晶)
『手伝おうか?』

(真奈美)
『いい・・・』

(晶)
『そっか・・・なら!』

(真奈美)
『いいから!先に、校門で待ってて!』

と、言われてしまった。
仕方なく校門に行こうと、すると、真奈美と僕の共通の友人『羽田美香』が、話し掛けてきた。

(美香)
『やっほぅ♪あきらん♪』

(晶)
『・・・』

(美香)
『あれあれ?どうしたのかなぁ〜?あきらきゅん?もしかして・・・まなりんに、嫌われたのかなぁ?』

(晶)
『違うよ!・・・多分・・・』

(美香)
『あれれれ?いつもなら・・・「違うよ!」で、終わるのに・・・』

(晶)
『・・・』

(美香)
『・・・』

(美香)
『・・・ねぇ?・・・晶・・・何かあったの?』

(晶)
『・・・別に』

(美香)
『ふ〜ん・・・ねぇ?・・・ちょっと来てよ』

すると、有無を言わさず学校の、講堂の、人気のないところに、連れてこられた。


(晶)
『な!何でこんなとこに・・・てか握ってる手離して・・・』

(美香)
『・・・』

すると・・・美香は、握ってる手に、力を入れてきた。

(晶)
『いっ!!痛い痛い!美香痛いよ!手を、離してくれよ!・・・いきなりどうしたんだよ!』

(美香)
『・・・』

すると・・・美香は、僕の腕を壁に押しつけて体を、寄せてきた。

(晶)
『・・・くっ!みっ美香!何のつもりだよ!』

(美香)
『・・・』

そして・・・僕の唇に、暖かい感触・・・美香は・・・僕に、キスをした・・・僕は、すぐに終わると思った・・・
しかし・・・1分・・・2分3分・・・長く長くキスの嵐が続いた・・・
僕は、頭が空白になっていた。
何故。美香は、こんな事を・・・

そして・・・美香は、そのまま抱きついてきた・・・
その時・・・僕は何故か抵抗しなかった・・・
そのせいで、事態は誰も予想しなかった最悪な方向に、向かっていった・・・

ドサッ!っと鈍い音がした。
そこには・・・紙袋。
そして・・・そこにいたのは・・・

(???)
『・・・!?あっ・・・晶君!?なっなんで美香ちゃんと・・・』

・・・僕の恋人・・・真奈美が居た。

(晶)
『・・・!?んんん!んん・・・』

僕は、美香に口を塞がれてうまく喋れなかった・・・美香は、一体何のつもりなんだ・・・

(真奈美)
『どっ・・・どいう事なの・・・』

(美香)
『見てのままよ!』

(真奈美)
『・・・見てのま・・・ま・・・?』

(美香)
『そうよ!前から私は、晶と付き合ってるの!だからこうして・・・』

なっ!何で美香は嘘を?

(真奈美)
『イヤ!それ以上言わないで!!いくら晶君・・・美香ちゃんでも、ヒドイよ!』

違う!
しかし言葉に、ならなかった・・・
そして・・・

(真奈美)
『なんで・・・晶君・・・抵抗しないの?私が、彼女じゃないの?それとも・・・私とは、お遊びだったの?・・・』

いつも優しい真奈美が、泣きながら暗い笑顔で、言った。


(晶)
『・・・違う!』

いきなり美香が、口から手を離した。

(真奈美)
『何が違うの?・・・抱き合ってたじゃない!・・・はぁ〜あ・・・もう良いよ・・・疲れたよ・・・いままで楽しかったよ・・・さよなら・・・晶君』

そして・・・真奈美は走って行った・・・最後に何故か笑顔で・・・

(晶)
『真奈美!』

僕は、美香を睨み付けた。しかし・・・そこには・・・美香の姿は、無かった・・・
真奈美が、走って行った方向を見ると・・・あの紙袋。
僕は、真奈美に謝るついでに、紙袋を持っていった。


【PM13:20】
【場所・通学路】
【進行人物・川口真奈美】


何で?何でなの・・・嘘でしょ・・・晶君と美香・・・ちゃんが付き合ってるなんて・・・もし嘘でも・・・なんで晶君は、抵抗しなかったんだろう?
やっぱり美香ちゃんが、好きなのかな?それとも・・・美香ちゃんが・・・
だったら美香ちゃんは、いつも私と晶君が、喋っているところを、見てて妬いて・・・だとしたら・・・私ってヒドイ人・・・?
美香ちゃんの、気持ちも知らないで・・・

すると・・・
私の歩いてる反対側の歩道から・・・
晶君の声がした。

(晶)
『真奈美ぃ〜!』

しかし・・・私は、無視をした・・・
すると晶君が大声で・・・

(晶)
『真奈美聞いてくれ!僕は、真奈美の事一番好きなんだぁー!!!』

いきなり大声で言う晶君に、周りを歩いていた通行人が、みんな私の方に、視線を向けた。
しかし私は・・・恥ずかしながらも、嬉しくなり晶君の所に、走って行った・・・
しかし・・・


(晶)
『真奈美!危ない!!』

(通行人)
『きゃあぁぁぁ!』

(真奈美)
『えっ?・・・』

振り向いた先には・・・

(キイィィィ!!!)
(ドォン!・・・)

・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・・・・
宙を舞う私・・・
そして・・・

目の前を白いトラックが、通過していった・・・
そして、仰向けの私に、覆いかぶさるように上に居た・・・晶君・・・

(晶)
『ふぅ〜・・・真奈美大丈夫か?怪我とかないか?』

(真奈美)
『・・・うん』

(晶)
『よかったぁ〜!』

そして、トラックの運転手さんが、やって来た。

(運転手)
『大丈夫か!君たち!』

(晶)
『大丈夫ですよ』

(運転手)
『そうかぁ〜・・・そりゃよかったぁ〜・・・ふぅ〜・・・それにしても、お嬢さん危ないじゃないか!いきなり飛び出してきちゃ!』

(真奈美)
『ごっ・・・ごめんなさい!』

(運転手)
『まっ!いいさ・・・怪我が無くて・・・おじさんも、死ぬかと思ったよ。とにかくこれからは、気を付けてね』

(真奈美)
『はい・・・気を付けます・・・』

(運転手)
『それにしても、君なかなか格好良いじゃないかぁ!お嬢さんを助けたりしてぇ〜もしかして・・・君たちカップルかい?』

(晶・真奈美)
『はっ・・・はい♪』

(運転手)
『はっはははは!そうかいそうかい!声までそろってまさに、意気が合うカップルだなぁ!』

(晶・真奈美)
『・・・』

(運転手)
『二人ともぅ顔が、赤いよ!んじゃ・・・おじさんもう行っていいかな?』

(晶・真奈美)
『もぅ!早く行ってください・・・恥ずかしいじゃないですか!』

(運転手)
『はっはははは!そうかそうか!んじゃ失敬!帰り道気を付けてな!』

変わった運転手さんだった・・・でも・・・晶君が、私を助けてくれたなんて♪すごく嬉しかった!
もし、晶君が居なかったら私は・・・トラックに引かれていた・・・
そして、私は、この後足を挫いている事に気付き。晶君に、背をわれて家まで、帰っていった。


【PM23:42】
【場所・川口家(真奈美部屋)】
【進行人物・川口真奈美】

痛っ!
やっぱり痛いなぁ・・・青くなってるし・・・やっぱり病院に、行ったほうが良いかな・・・
でも・・・こんな遅くに病院やってないし・・・
湿布でも貼って、様子みようかな?
と言う事で・・・湿布が、入ってる救急箱を探しに、一階の居間に降りた。
えっと・・・救急箱・・・はぁっと・・・あったあった!
湿布を見つけて足に貼った。

(???)
『たわぁいまぁ〜・・・』

あっ!父が、帰ってきた。今日もかなり酔っ払っているようだ・・・
私の、家族は父と娘の私だけ・・・ちなみに母は、父の浮気で離婚・・・名前は『川口正彰』
いまだに父は、未練があるらしく・・・私を見ては、母と間違える・・・そして・・・この頃接し方が、エスカレートしている。
前なんか・・・一つ間違えれば・・・犯罪レベル・・・私が、寝ているときに、いきなり覆いかぶさり抱きついてきたからだ・・・呆れる程、母と間違えて襲おうとしてくる・・・そんな私の対処法は、合気道。
父が、怪我をしないぐらいに、止(とど)めて我に返る時を、待つ・・・そして引きずって父の部屋の布団まで、ズルズル運ぶ。
それでいつも対処している。
だから・・・いつも父には、苦労させられる・・・
ちなみに、私には、もう一人家族が、居た・・・私の生き別れの双子の妹・・・
『琴音』
顔は、知らないけど私に似ているらしい・・・。
一度会いたいのだが・・・父が会わせてくれない・・・

(父)
『琴美!帰ったぞぅ〜♪・・・』

今日も間違えてる・・・
ちなみに、琴美とは、私の元母『珊瑚琴美』の事。
そして、私と琴音の名前も、母から来ている。


(真奈美)
『おかえりお父さん・・・』

(父)
『琴美!お帰りのキスは?』

(真奈美)
『・・・』

私は、呆れて自分の部屋に戻った。
そして、ベットに潜って眠った。


【AM0:03】
【場所・二宮家(晶部屋)】
【進行人物・二宮晶】


ふぅ〜・・・昨日は・・・疲れたなぁ・・・俺は俺で、大変だったし。
美香は・・・変だったし・・・
真奈美は・・・傷ついたり、交通事故にあいかけたり・・・
本当疲れたよぅ・・・
と、その時・・・

(???)
『晶ぁ〜!電話だよぅ!』

姉さんが僕を呼んだ。
ちなみに、姉さんの名前は、『二宮美紀』と言う。
いつも優しい、良いお姉さんだ。

(晶)
『はぁ〜い今行くよ』

こんな時間に、一体誰なんだ?
僕は、一階の電話機のところに、急いだ。

(晶)
『誰から?』

(美紀)
『美香ちゃんからよ・・・なんか泣いてるみたいだけど・・・はい』

美香から・・・か

(晶)
『はい・・・』

(美香)
『・・・ごめんなさい!』

(晶)
『あぁ・・・んでなんであんな事やったり言ったりしたんだ?真奈美ひどく傷ついてたぞ』

(美香)
『・・・晶が、可哀想だったから・・・真奈美ちゃん・・・晶に、冷たくなったし・・・また、愛し合ってる晶と、真奈美ちゃんが、見たくて・・・それで、恋敵みたいに、したら・・・また・・・ラブラブになるかと思って・・・ごめんなさい・・・勝手な事言って・・・』

(晶)
『えっ?そんな事を、思ってたのかよ!美香・・・考えすぎだよ・・・美香の思ってる様な事は、絶対無いよ!真奈美は、冷たくないよ・・・ただあの時は、忙しかっただけだよ・・・でも、キスとかやりすぎなんじゃ・・・』

すると美香は・・・


(美香)
『だって・・・私・・・晶の事・・・ずっと前から・・・すっ・・・好きなの!・・・・・・ごめん・・・変な事言って・・・切るね・・・おやすみ・・・』
(ブツッ・・・ツーツー)

美香は、一方的に電話を、切った。
・・・美香が、僕の事を好き?・・・でも・・・なんで今更言うんだ?
・・・もぅ・・・解んないよぉ!・・・

僕は、真奈美が好きなのか?美香が好きなのか解らなくなっていった・・・

そして・・・今日の朝・・・史上最悪の運命を辿るとは、この時の僕は、思うはずが無かった・・・。


永遠に、帰ってこない愛しい人・・・。



【第一楽章・不安と誘惑】終わり
【最終楽章・最後の再会】につづく・・・


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