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メモリーズオフ小説部屋
第二章:すれ違いのふたり



【智也】
「なんだ?また回りが、暗闇だ…」
そういえば、なんか前回とんでもない被害にあった気が…


【?】
「オイ三上!お前何してんだ」

ふと声の方を見上げる、いつも口うるさい化学教師だ…

【智也】
「ん?」
ふとオレが、あたりを見回す。
クラスのみんなと、化学教師が、オレの回りを囲っていた。

【かおる】
「三上くん大丈夫?購買の新商品のパン食べたら急に倒れるんだもん…」

【唯笑】
「トモちゃん…」
ふたりが心配してくれている。

【智也】
「あぁ、大丈夫だ。ちょとオレの体内抗菌が、初めて負けたのは、ショックだがな…」

俺は、腐った牛乳を飲んでも耐えられた男だ。
他の奴等は、食中毒レベルの結果だったがな…。

【教師】
「三上、何にわけ分かんないコト言ってんだ?
ほらみんなも早く席につけ」
相変わらずノリのワリー教師だ。


【智也】
「ふみき先生ならなぁ〜」

【信】
「おい!智也!なんだふみき先生ならって?」

ふみき先生とは、前まで教育実習で来ていた先生だ。

信は、惚れてたらしい。
たしかにいい感じの先生だった。


【智也】
「んや!ふみき先生ならあのカツラよりノリいいのになぁ〜って」

カツラとは、化学教師の桂司照雄(かつらしてるお)のコトだ。

いかにもウケねらいの感じだが本名なんだから仕方ない…。

【信】
「だな…。あんなヅラ!いじるぐらいの価値しかないな」

【智也】
「バカ!声でかい…」

っと、カツラが振り向く。

【桂司】
「ほぉ〜お前らいい度胸だな」


カツラが、怒ると怖さは、ないが、後に引きづらせるのが困りもんだ…。


【信】
「いや〜なに言ってるですか先生。ボク達は、先生のコト言ってたんじゃないですよ〜」
さすが信、得意の言い訳だ。果たして上手く行くか?

【桂司】
「ほぉ〜、じゃあ一体誰のコトだ!」
怖い!怖すぎる…なんだ、あのエクソシストみたいなキレ顔…。


【信】
「校長先生のコトですよ!ほらウチの校長ヅラでしょ。」

なんだ、それって言い訳か?ただ単に責任を押しつけてるだけだろ…。


【桂司】
「あーなるほど!たしかに校長ヅラだし〜、っておい!…誰が騙されるか。」

予想がいの桂司のノリツッコミにクラスが沸いた。


【かおる】
「ねぇ!三上くん。桂司おもしろいね♪」

たしかに面白いが…なんだ明日は、雨じゃなくてオレンジジュースでも降りそうだな…


あの桂司がノリツッコミ?

【桂司】
「とりあえずお前らは、廊下に立っとれ」

ふぅ!これで何回目だろ…桂司の独裁的廊下に立っとれ…

俺と信は渋々廊下へ出る。


【信】
「なあ、智也!」
信がいつもと違う真剣顔で聞いて来る。

【智也】
「なんだ?ははは、また、だな。桂司の廊下に立っとれ。」
信は、そんなの関係ないみたいな顔をした。

【信】
「違うよ。そんなのいつものコトだろ。」

まぁ、あいつの廊下に立っとれは、澄空の流行語大賞だからな。

【智也】
「んじゃ、なんだ?」

【信】
「唯笑ちゃんだよ、最近元気ないだろ」

確かに…最近様子が、おかしかった。


【智也】
「だな…」

【信】
「なんか、思いあたる節あるか?」


そんなコト言われても俺は、いつもどおりだし…

【智也】
「もしかして、桂司のノリツッコミとなんか関係が…」

【信】
「あるか!バカ!」

だな、そんなハズない…

【智也】
「じゃあ、なんだろ?」

思い当たる節が、全くない。


【信】
「そうだな〜。じゃあ今日唯笑ちゃんや音羽さん誘って遊び行くか?」

なに言い出してんだ信は?

【智也】
「なんで?」


【信】
「一緒にいれば、なんか、わかるかもしれない」

確かに信の意見も一理あるな。


【智也】
「じゃあ場所はいつものバーガーワックか?」


バーガーワックとは、良心的な値段で、駅からも近く若者に人気の店だ。


【信】
「おう。じゃあ放課後な。」

っと信が、動き出した。

【智也】
「おい、どこに行くんだよ?」

ここで、逃げたら桂司に、どやされるどころじゃないぞ…


【信】
「ちょっとな…俺には、俺のやるコトがあるんだ。安心しろワックには、ちゃんと行く。」

なんか最近信の行動がよくわからん…

【智也】
「なんだ、あいつ…」
っとここで5時間目の終わりを告げるチャイムが、鳴った。
っと同時に教室から、桂司が出て来る。


【桂司】
「おい!三上!稲穂は、どうした?」
ここは、フォローしといてやるか。

【智也】
「あ〜さっき伊藤先生に、手伝って欲しいコトが、あるって呼ばれてました。」

さすがは、俺気の利く奴♪

【桂司】
「そうか…なら仕方ないか…」

ここで、さっきの気になる出来ごとを聞いてみた。


【智也】
「先生さっきは、なんでノリツッコミしたんっすか?」

桂司が、ノリツッコミなど、カレーうどんの汁を飛ばさないで、食えってぐらい無理だと思ってた…。なんかたとえが非凡になってキタ…


【桂司】
「ん?あぁ!三上、内緒に出来るか?」

突如、桂司の顔が変わった。


【智也】
「えぇ、いいっすよ、俺口堅いし。」
まぁ、それはだいぶ嘘だ、俺は、水素より口が、軽いと唯笑に言われたコトがある…


【桂司】
「よし。ならお前だけにだぞ。」


っと、桂司が手持ちのファイルからある本を取り出した。

【智也】
「なになに、今日からあなたも金○を超える先生に…」

クァハハハ!心の中では、大爆笑だったが口には、出さずにおいた。

【桂司】
「ああ、他の先生に聞いたら生徒達からの俺の評価最悪だったらしいからな…」


そりゃそうだろ、いつもいつも宿題忘れたり、ちょっと寝ただけで廊下に立たたせたりしてたら…
そんなの、ドラ○もんとサ○エさん、の世界だけだ…。


【智也】
「でも、まあいい心掛けだと、思いますよ。今日のノリツッコミすげーウケてたし。」

っと、みるみるうちに桂司の顔が、笑顔になった。

【桂司】
「ホントか?やった〜♪
じゃあな三上〜」


意外だ…桂司にあんな一面が、あったとは…。

ふぅ〜今日は、疲れるコトばかりだな…。

かなりお疲れモードで、教室に戻ると。


【かおる】
「やっほ〜三上くん、バカだね〜立たされてやんの」

っと音羽さんが突っ掛かって来る…


【智也】
「あれはだな〜100%信のせいだろ〜」
俺は、桂司のノリの悪さを言っただけだ…


【かおる】
「んで?その稲穂くんは?」

その言葉で、さっきの信とのやりとりを思い出した!

【智也】
「信ならどっか行っちまったよ…。そうだ音羽さん!」

【かおる】
「ん?なーに?」

ここで唯笑の最近おかしいよね情報を伝えると、なんかごちゃごちゃしそうなので、ワックのコトだけ伝えるコトにした。

【智也】
「久しぶりに信や唯笑達とワックでパァーと騒がないか?」

【かおる】
「いいけど…なんで?今日は、普通の平日じゃない。」


う…さすがは、音羽さん勘が鋭い…


【智也】
「まぁ、細かいコトは気にすんなよ。」

すると、音羽さんは、少し不思議そうな顔をしながら

【かおる】
「うん、いいよ…」

ここは、長居は無用だな。

【智也】
「んじゃ、俺は、唯笑誘って来るわ。」

ん?いつもなら俺と音羽さんが、しゃべってると、何しゃべてんの〜?
とか聞いてくるんだが…

そういや今日は、来ないな…

【かおる】
「そういえば最近、今坂さん元気ないよね…。」

音羽さんも気付いてたか…

【智也】
「だな…」

【かおる】
「まぁ、きっと今坂さんのコトだもん。
きっと些細な理由だよ。」

さすがは、音羽さん唯笑の事をよくわかってるな。


【智也】
「だな。きっと今日の見たかったテレビが、野球中継で中止になったとか、そんな理由だな。」

このコトで、何回愚痴られたかわからん…


【かおる】
「あ〜それある〜。なんかテンション下がるんだよね。」


音羽さんもあったのか…


【智也】
「ところで唯笑が見当たらないな…」

いつもなら熟睡してるか、信と喋ってたりするのだが…


【詩音】
「どうかしました?お二人とも」

双海さんなら唯笑とも仲が良いからわかるかも。


【智也】
「なぁ、双海さん、唯笑どこに行ったか知らないか?」


すると双海さんの表情がガラッと変わった。

【詩音】
「今坂さんなら…なんかすごい落ち込んだ様な顔で屋上に行きましたよ」

どうしたと言うんだ…
ホントに何かあったのか…

かなり心配になってきた…


【かおる】
「三上くん早く行こ。」

音羽さんも行ってくれるか…

【詩音】
「私も行きます。今坂さんは、大事な友達ですからね。」


唯笑は、いい友達を持ったな。
ん?俺もか。

ふとそんなコトを考えながら向かってると。

屋上に到着した。


唯笑は、フェンス越しに、この澄空の町並みを見ていた。

横顔が、かなり寂しげだった…


【かおる】
「今坂さん?」

【唯笑】
「あ!音羽さん…それにトモちゃん、双海さんも…みんなでどうしたの?」


【智也】
「どうしたのって…お前こそどうしたんだよ、一人で黄昏ちゃって」

っと6時間目の始まりのチャイムが鳴った。

【かおる】
「そろそろ戻ろう」

かおるの言葉で、俺と双海さんが、教室に帰ろうとするが…


【智也】
「おい!唯笑どうした。早く戻るぞ。」

だが唯笑は、俺の言葉に耳を傾けようとは、しなかった。


【詩音】
「今坂さん?戻りましょ。」

だが唯笑は、一向に遠くを見つめてるだけだった…


そごで、俺は、ふたりに帰るように言った。

【智也】
「俺が連れてくから、ふたりは、先に戻ってて。」


【かおる】
「わかった。三上くんちゃんと連れ戻して来てね。」

【詩音】
「頼みましたよ。」

ふたりが、連れ去られたヒロインを助けに行く主人公へのセリフを言って戻って行った。


【智也】
「おい!唯笑なにがあった?」


だが唯笑は、一向に喋る気配がない…


【智也】
「あ〜もう!黙ってら分かんないだろ。

俺が、少しキレ気味で言うと、唯笑がこちらを振り向いた。


【唯笑】
「トモちゃん!!」

急に唯笑が、強い口調になる。


【智也】
「なんだ、どうした?」


【唯笑】
「唯笑とトモちゃんって付き合ってるんだよね?」


幼ななじみの桧月彩花が亡くなってからは、自然な流れで、俺らは、付き合うことになったのだ。


【智也】
「あぁ!そうだろ、急にどうした?」


【唯笑】
「じゃあトモちゃんは、唯笑と付き合う前に交わした約束覚えてる?」


約束?そんなことしただろうか。


【唯笑】
「やっぱり忘れてるんだ…。彩ちゃんの時は、覚えたのに…。
やっぱり唯笑じゃ…


突如、唯笑が泣き出した。


【智也】
「おい、唯笑…。」

【唯笑】
「へへ…唯笑ダメだね…これくらいのコト許してあげなきゃダメなのに…。」

【智也】
「………。」
俺は、何も言うことも、慰めてあげることさえ出来なかった…


【唯笑】
「じゃあね、トモちゃん。」


唯笑が、泣きながら去って行った…


【智也】
「くそ!なんで何も言えなかったんだ…」


その後しばらく、俺は、動けなかった…
今の急の出来ごと。
唯笑の言ってた約束を覚えてなかった、自分の惨めさ…


やっぱり俺は、唯笑と真剣に付き合ってなかったのか…


【智也】
「やっぱり俺は、彩花じゃないと…」

今まで順調だった二人に、すれ違いが、果たして、唯笑と智也は、どうなるのか…


第三章へ続く。


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