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僕らのお姫様
01

「ボスボスボッスン!」

ルビが何度も呼ぶと、なんだ? と振り返えるボス、ザンザス。

その顔には明らかに、面倒くさそうな表情が浮かんでいた。

「ボース。さくらって何?」

ルビの手には、写真集みたいな物が握られている。
大方、ルッスーリアの所から取ってきたのだろう。その写真にはルビの言った、桜が映されている。

「見に行くか?」

「うんっ!」


* * *

そして、場所はジャポーネ。

【薄紅に色付いた桜の花が春のそよ風に揺れる。
少しずつ散っていくその様は、まるで人生観を表しているかのようで、見る者を引き付けて止まないのだろう……】

写真集の横にはそう書いてあったなぁと、スクアーロは思い出す。

気まぐれな2人の旅行にヴァリアー幹部全員が付き合わされる事となった時は、どうなる事やらと心配して(どちらかと言うと、悲観して)いたが、たまにはこんなのも悪くは無いと柄にもなく思った。

そんなスクの手に握られているのは、とあるスーパーの袋。
酒や肴やらの買い出しに行かされていた。ガサガサ鳴っている。

早く戻ってしまおう。

しかし、とそこでスクは少しの違和感に気付いた。他のギャラリー達がいない。
詳しく言うと、ただ居ないだけなのでは無い。
スッポリと消えてしまった、若しくは切り離された。そう言った表現の方が正しい。

一番咲き誇っていた筈の中央の桜の花も、段々と散って……


散っ…て…


ち……


「ブハハッ! もっと散らせぇー、カス共がぁ!!」

「あら、逸れが人にものを頼む態度かしらー?」

ユサユサ。
バッサンバッサン。


桜の木の下、変わり果てた(ザンザスは何時も通りか?)上司と後輩の姿があった。

2人は元気よく、木を揺らしている。鼻歌混じり気味。

――原因、発見。

地面には酒の空瓶がゴロゴロ。

急な事により、皆手ぶら出来た筈……そこまで考えて、思い出した。



ルビが何やら重そうなリュックを背負っていたことを。


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