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僕らのお姫様
01



問題児が走り出した、その先に居たのはかつての同級生でした。


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「ハァ、やっと追いついたぜぇ……」


毎日と言っても良い程、アジト内を元気よく走り回っているルビは無駄に足が速い。
恐らくヴァリアーの中ではトップレベルを誇る。

その活用法を思い返すと、余り認めたくは無いけどなぁ……!




「おっ、スクアーロ!」


「あ゛あ゛?」


マフィアに相応しく無い能天気な声が聞こえて、ルビの方にやっていた視線を上にあげる。

一番に目に入ったのは陽光を反射して輝いている金髪。
そして、あの頃と全く変わっていない……良く言えば、人懐っこい笑顔だった。


「よぉ、跳ね馬。相変わらずだな」

「ハハッ、久しぶりスクアーロ……あっ、この娘は?」

少し皮肉混じりに放った言葉をサラリと交わして聞いてくる跳ね馬。
交わす……と言うよりただ気付かなかっただけかも知れないが。恐らく後者だ。


「ああ、そいつは……」

そこまで言いかけて口を噤(つぐ)む。
何でオレがコイツを紹介しねぇといけないんだ。自分の事は自分で言えよそう思って、隣で緊張気味に固まっているチビの背中を軽く叩く。

自分から走って行ったくせにフリーズするなよ……世話の焼ける奴だぁ。


この時のルビの表情は今まで見たことのないものだった。



「こ、こんにちは。私スクさんとヴァリアーな一緒の幹部が名前と言いますルビですっ!!」


……

息を付く間も無く、一気にまくし立てられた言葉。見事に文法無茶苦茶だぁ……。

多分、『私はスクさんと一緒でヴァリアーの幹部。名前をルビと言います』って言いたかったんだろうな……。

この際、スクさん発言はスルーだ。
一々突っ込んでいられねぇ、ある意味人で不足だ……ボスさんよぉ。


そうは言っても、突っ込み係、そう書かれた看板を首にぶら下げて待機しているヴァリアー隊員は見たく無い。

そんな馬鹿みたいな想像が自然と浮かび苦笑いした。


しかし……やっぱり、オレが紹介くらいしてれば良かった。
目をキョトンとさせている跳ね馬は、マシンガンの様に飛び出た言葉を到底理解していないだろう。



「おっ、スクアーロと一緒なのかぁ。オレ、ディーノってんだ。よろしくな、ルビ」


「よろしく……です!」



えっ……何で通じてんだぁ?

まさか、新手のヴァリアークオリティーか何かかぁ?


そんなオレの疑問そっちのけで、2人はお互いニコニコと笑い合っていて、オレには入れない世界を創造中。
ルビはまだ緊張してんのか、少し顔が引き攣ってはいるが。



まぁ……何にせよ、差し出された右手をぎこちなく握り返したルビの表情は満更でも無く、その光景は少し微笑ましかったのだった。


sono felice di averti incontrato!
(素敵な出会い?)


→後書き

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