釣鐘草エクストリーム@
「…ッく、ひっ…」

毎週金曜は折檻の日。

「ふッ、ふッ…」
「ァ…あがッ…やめ…あああッ!」

思えば当時は毎日が灰色だった。


釣鐘草エクストリーム


ぐちゅり

おぞましいソレはようやく引き抜かれて、
オレはベッドから蹴り落とされる。
"用済み"になると素っ裸のオレはフローリングと友達になれた。

『よう、一週間振りだな』
「お前は相変わらず冷たい奴だね」

黒豚野郎のイビキが聞こえる。

「とんでもなく酷い奴だと思わない?」

身体は青痣だらけだ。
いくらオレがそう言う趣向だからって、
キレーでムチムチボンテージな淫乱レディに鞭とか蝋燭で
じっとりねっとり責められるのが好きなのであって、
ヤローに慣らされてもいないケツの穴に
無理矢理ナニをブチ込まれても苦痛なだけなのである。

『逃げれば良いじゃないか』
「ならお前はオレから逃げられるか?」
『むり』
「そう言う事なんだよ」

最初…FATはただの馬の合う友人だった。
何故か、いつの間にか、オレは豚の犬になっていた。
気が付いたらこうして金曜日に暴力的な性交が繰り返されている。
…背骨が軋んだ。

オレは起き上がって一服する気力も無く、
疲労から来るまどろみに意識を委ねて眠りに落ちる。

ああ誰か、この環からオレを、助けてくれ。



オレはFATと顔を合わせるのが嫌で、
しばらくディスコに行かなくなった。
しかし金曜日は相変わらず折檻デーだ。
そんな胸クソ悪い日々が続くオレの視界は灰色だった。
辛い最中も、色を失うと少し楽になれた。



『おい、今日はオレ様のツレを紹介してやるから出てこい』

そんな風に言われたのは確か春の終わり頃だった。
返事をする間も無く電話を切られたオレは
渋々階段を下り地べたに座って煙草をふかしていると、
五分程で派手なボディペイントのアメ車が
やってきてやかましくマフラーを咳き込ませながら目の前で止まった。

「よォ、イイコにしてたかァン?」

オレは顔を上げるのすら億劫で、小さく返事をしただけだった。

「オメー、愛想ワリィな」
「んー…ごめ、寝起き」

FATがいちいちカンに障る。

「まぁ良い、見ろ、コイツがDだ」
「…よ」

Dは見るからにロッカーだった。
ピンクと赤の派手なロン毛、ライダースジャケットに
ダメージ加工のぴっちりしたジーンズ。

「80年代…」
「は?」


FATがDと何か話している。
オレは俯いてぼんやり聞き流していた。
たまに話を振られたが適当に笑って相槌を打つ。
何がどうだろうと最早どうでも良かった。
早く帰れ…早く帰ってくれ…一人にしてくれ。


「あ、わりFAT、俺今から打ち合わせだから帰んねーと」
「ン?そうかァ?…じゃあ帰るかァ」

車にエンジンが掛かった音でオレは我に返る。
気が付くとそいつらはオレに手を振りながら車を走らせていた。


それがオレとDが始めて出会った瞬間だった。




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あきゅろす。
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