紘六×成紀
5
「私の顔に、何か付いてる?」
えっ?
女店員のその一言で俺は我にかえった。
「いやぁ、あんまりじっと見てくるもんだからさ、私の顔に何か付いてんのかな......って聞いてる?」
どうやら、気付かないうちこの女店員の顔(正しくは髪)をガン見していたみたいだ。
「はっ、はい!!」
俺は思わず大声で
返事をしてしまった。
「アハハハ!そんな大声で返事しなくていいよ」
「すっ、すみません店の中で、他の客に迷惑ですよね?あっ、全部でいくらですか?」
「いやいや、それは大丈夫だって、今店の中私と君二人きりだけだし。お代は、1226円ね」
女店員にそう言われて周りを見回してみると、本当に俺以外の客はいなくて、俺と女店員の二人だけだった。
「ほ....ホントだ....」
何だか妙に安心した。
そして俺がお金を払うために財布をひらき、小銭をひろっていたら、
「だから、さっきの君の独り言全部聞こえちゃったんだよね♪」
女店員がいきなりそんな事を言い出した。
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