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指先から伝わる想い


よし!今日こそ…今日こそマカにっ!!あぁ、でも…もし…、クソ…鬱になりそうだ。


「キッドー、さっきから何ぶつぶつ言ってんだー?」

「なっ!?リズか…脅かすなよ。おぉ、もう授業は終わったのか…」

突然後ろからドンッとリズに叩かれて、慌てているキッドをリズは不思議そうに見る



「ま、いいや。もう授業も終わったことだし帰ろーぜ!」

「帰ろ帰ろっ!!」


いつの間にいたのか、パティも笑いながら促す。



「あ、いや…先に帰っていてくれ。俺はまだ用事があるのでな」


「ふーん、分かったよ。じゃなー」

「じゃなー!」

手をひらひらとさせながらリズとパティは教室を出ていった。







「ふぅ……、危ない。今日こそはマカに俺の……ってあれ?」

教室を見回してみると、マカもソウルも他の生徒達もいつの間にか、居なくなっていた。


「………クソ、鬱だ、死のう。」

俺はごみ溜め的存在なんだ。と一人落ち込んでいると頭上から声が降ってきた。


「キッドくん?どうしたの…?」

聞き覚えのある声にガバッと顔をあげると、マカが心配そうにキッドを見ていた。




「マ、マ、マカッ!?」

キッドは突然のあまり、目を開いて後ずさった。



「そ、そんなに驚かなくてもー、」

「あぁ…いや、すまん。突然だったからな。」

「それで、どうしたの?何かあった?」


またシンメトリーのこと?と半ば呆れ気味に聞く。






「シンメトリーのことじゃないが、気にしないでくれ。それにしても…今日も見事なシンメトリー……ではないぞ、マカ!!」

「え?」

「髪の…結ぶ位置が5oもずれているではないかっ!!」


この世の終わりの様な顔をしたキッドを見て、たった5o……とマカは内心思った。



「そんな顔されると…、ちょっと傷つくなー、」

「そうだっ!!俺に直させてくれ!!」

「えぇっ!?」

「安心しろっ!!俺がきっちりかっちりシンメトリーにしてやる!というか、させてくれ!……頼むっ」


キッドはシンメトリーの事となると、手をつけられないとマカは知っているので仕方なく諦めた。


「はぁ…、いいよ」

「ありがとうっ!マカっ!」

キッドは歓喜のあまり、思わずマカに抱き着いてしまった



「きゃあっ!!」

「うおっ!す、すまん…つい」

「い、いいよ。」

「あ、あぁ。じゃあ、見事なシンメトリーにしてやるっ!」

「…うん」


二人は仄かに顔を紅く染め、マカは近くのイスへと腰かける。







「マカの髪は…綺麗だな、」

「そ、そうかな?」

「あぁ、さらさらで気持ちいい」

結った後すら残らない真っ直ぐなマカの髪をほどきながら、キッドは目を細めて言う。


「……恥ずかしいな」

「そうか?自信を持て!この俺が言うのだから間違いないぞ!!」


あまりにもキッドがきっぱりと言うので、マカはおかしくて笑ってしまう。それにつられ、キッドも笑う。










「よし、出来たぞ。完璧なシンメトリーだっ!!」

「あはは、ありがとっ」


マカはイスから立ち上がり、くるっとキッドの方を向いて微笑む。


「や、やっぱりマカは、シンメトリーがよく似合うな」

「何それ、褒めてんのー?」


微妙だなぁ。とマカは笑う

「当たり前だっ!!何しろマカは可愛いからなっ」

「え…」




キッドの言葉に顔が真っ赤になったマカを見て、キッドは慌てる。

「あ、いや…その、つい本音を…っていや、違くて…って違う!」


真っ赤になって慌てるキッドを見て、マカはくすくすと笑う。


「あはは、じゃあ完璧なシンメトリーになったし、私行くね。ありがとう、キッドくん」


「あ、いや…お安いご用だ」


ひらひらと手を振り、笑顔でマカ教室を出ていった。


「……………あれ?俺………今日、マカに…告白を………クソ、鬱だ…死のう。」

本来の目的を忘れ、シンメトリーに走ってしまった自分の不甲斐なさに落ち込むキッドだった。







「ふぅー、びっくりした。でもさっきのキッドくん…かっこよかった…かも」


キッドくんに触れられた髪が、熱い






とうとうやってしまった。キドマカ……このサイトBLなのに。でも、後悔はしていない…よ!

20080820 藍




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