プレゼントは―
「雲雀さん…まだかなぁ」
はぁっと、白い息を手に吹きかけてはこすり合わせる動作を、もう幾度となく繰り返しながら恋人の名を呟く
「つな…よしっ!…はぁ、ごめん、ね?」
待ったでしょ?といいながら、くしゃりと綱吉の頭を撫でる
「い、いえっ!今来たばっかで…」
雲雀さんが息を切らして俺の為に走ってきてくれただけで充分だ。と、ベタな決まり文句を口にしながら心の中で思う
「……嘘」
「へ?」
「こんなにも冷たいのに…ごめん」
この人は…どこまで優しいのだろう
「大丈夫ですよ?」
「そう…行こっか」
「はいっ!」
「どこ、行きたい?」
「あ…う…、えっと…ですね」
「ん?」
「考えたんですけど…」
昨日雲雀さんに、『行きたい所考えておいて。』と言われて、考えたのだ。考えたのだが
「…ひ、ばりさんの…家がいいなぁー。なんて」
「つなよし…」
俺の目から見ても分かるくらい、雲雀さんは目を見開いてビックリしていた。あぁーやっぱダメかな…
「それ…本気?」
「え…」
「ほんとに僕の家に来たいの」
「え…あ、はい」
「そう、なら…いいよ」
そう言って雲雀さんは微笑んだ。思いきって言ってみるものだ
「どうして?」
「え?」
「僕の家に来たい。だなんて」
雲雀さんの家に向かう道すがら、そんな事を聞いてきた
「ただ…単に行きたいな。と、ほら…雲雀さん人群れてるの嫌いでしょう?だから、雲雀さんの家なら2人きりになれるかな…って」
前に独り暮らしと言っていたでしょう?と、聞き返す。
「ワォ、大胆…だね」
「そんなっ!!」
真っ赤になっている俺をみて、雲雀さんはクツクツ笑っている。
「あぁ…そうそうプレゼント、楽しみにしてて」
「えっ!?プレゼントなんて、俺」
「プレゼントは、―――」
そっと耳元で呟いた
「なっ…へっ……えぇ!!」
「僕も欲しいな、綱吉が」
プレゼントは…僕だよ。
なんて甘美な響き
(そんな恥ずかしい事をよく…!)(あれ、欲しくない?)(……ほ…しい…です)(……ワォ)
20090106 藍
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