01
来世でまた逢うでしょう
ザァァァ....
「今回はちょっと…ヤバいですかね?」
何発もの弾丸が飛んでくるなか、骸は撃たれた右肩を押さえながら物陰に影を潜める。周りには、鉄分を含んだ水溜まりが出来ていた。
「Sランクの任務だと聞いていたのに、これはSSランクの間違いじゃないですかね、」
パァンパァン...
数発の渇いた銃声と、相手方のマフィアであろう者の呻き声が不意に聞こえた。
「なんか文句言った?」
声変わりしても尚、幼さの残る聞き慣れた、心地よい声が聞こえる
「…綱吉くん、なぜ…」
「大事なファミリーが虐められてるんでね」
「全く…相変わらずですね。貴方は、」
「ボンゴレの霧の守護者の名が廃るよー。恭弥さんに雲兼霧の守護者やってもらおうかな、」
「それだけはやめてください」
「冗談だよ。ホラ、大丈夫か?」
骸を抱え起こして、立たせると心配そうに顔を覗きこんだ
「貴方に心配されるなんて…堕ちたものです」
「バカ、堕ちてたのを助けてやったんだろ?ホラ、さっさと片付けるぞ」
「…不本意ですが、分かりましたよボス」
「お前も大概嫌味な奴、」
骸と綱吉は、地を蹴り走り出した。
――…
「やっと終わりましたね…」
骸は、ふぅとため息をつきながら近くの壁にずるずると、もたれ掛かる
「傷見せて」
「大したことありません」
「化膿して恭弥さんに『怪我してくるなんて、いつから君はそんなに弱くなったんだい?』って嫌味っぽく心配されても知らないよ?」
綱吉は、皮肉っぽく微笑みながら恭弥のマネをしてみる
「恭弥に心配されるなんて、考えただけで気持ち悪いですよ」
全然似てないですよ。と言いながらも、骸は眉間に皺を寄せ嫌そうな顔をする
「煩いなぁ、早く見せろよ」
「にしても…口悪くなりましたねー、近くにいるアルコバレーノの影響じゃないですか?」
傷口を見せ、心底残念そうな顔をしながら天井を仰ぐ骸を見て、今度は綱吉が眉間に皺を寄せる。
「リボーン?よしてよ、俺はあんなに嫌味で暴力的じゃないよ」
「おやおや…綱吉くんも、」
ふと、骸の視界に倒れた相手の拳銃を持つ手がピクリと動いたのを捉えた
パァン
発砲された弾は、迷うことなく綱吉へと向けられたが、綱吉へは当たらなかった
「ぐはっ、」
ドサッ
「な…に、」
綱吉の頭を撃ち抜く筈の弾丸は、綱吉を庇った骸の左胸を撃ち抜いていた。同時にゴトリ、と鈍い音がして相手の拳銃は地へと落ちて、ピクリとも動かなくなった
「お…い、骸?」
「綱吉くん…、考えるより先に…体が、勝手に動いちゃいました…よ」
クハハ、と自嘲気味に笑う骸からは、ひゅうひゅうと音が漏れる
「何言ってんだよ!お前…まさか、死なないよな!?俺を手に入れたいんじゃなかったのかよ!マフィアが嫌いなくせに、マフィア庇ってんじゃねぇよ!」
左胸辺りをじわじわと紅く染め上げるそれが、真実を物語っている
「ボスの為に死ねるなんて、守護者の…本望、じゃないですか?」
「ば…か、言うなよ。俺はそんなの望んでない!」
綱吉の大きな目から溢れる涙は、骸の頬へと止めどなく落ちる
「綱吉…くん、」
す、と伸びてきた骸の手が綱吉の涙を拭う
「好きですよ…あいして…いま、す」
「っくろ、」
「…泣かないで、笑って」
「そんな…」
「また、来世で…逢えますよ…かなら…ず、逢いに…いき、ます」
頬を優しく撫でていた骸の手が、すとんと地に落ちた
「おいっ!骸?嘘だろ!?」
固く閉ざされた瞼は二度と開く事はなく、ただ美しい微笑みだけを遺していた
「俺も…好きだ、愛してる!…絶対に、逢いに来いよ…」
(来世でまた、なんて美しい永遠の告白でしょう!)
20080331 藍
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