シリーズ 不良くんと温室 ―おれ、門崎鈴(かんざきれい)は、とある目的地を目指していた。 「やぁ、スズ来てくれたんだね」 「おぉ、ここ落ち着くからな」 俺が向かっていたのは、校舎の外れにある温室だ。 理事長の趣味で作られたらしいここは、限られたヤツしか入れない。 じゃあ、なんで俺が入れるかって………? 「スズ、おいで」 にこりと微笑み、俺を手招く。 俺は素直にソイツに近づき、隣に腰を下ろした。 「久しぶりだね?………最近、忙しくて会えなかったから」 「仕事……忙しいのか?」 確かに、ここ、2、3週間会っていない。 前に会ったときより疲れきった表情をしていて、見ているこっちが痛々しいと思えるほど、やつれてる。 「でも、スズの可愛い顔見たら元気でたよ」 「よく、恥ずかしい台詞言えんな」俺の腰を抱き寄せ、耳元でささやかれた言葉に、うつむく。 相変わらず、破壊力抜群な美声だな、コノヤロー 顔真っ赤になったじゃねぇーかっ!この、天然タラシっっ!! [次へ#] [戻る] |