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bye-byeのあとに◇



『いいじゃないか政宗。お前が造る国なら、私も見てみたい』



そう、ユキが言ったのはいつの頃だったか

そのユキが居なくなった城で、政宗は城下を見下ろしていた

天下は統一した

暫くは戦もない


天下人となったなら全てが思いのままになると思っていたが、その逆だった

全てが雁字搦めだ

しかもユキが居ない


戻っては来ないのか?

お前の為の居場所なら、いつでも空けてある



『政宗』



一瞬

ユキの声がした気がして、政宗は振り返った

だが振り返った先にユキは居ない

居はしない


これは執着か?依存か?未練なのか



「ユキ」



月のように美しい、光を集める髪

だがあの妖しく輝いた射干玉の瞳が今は何を映しているのか、政宗には分からなかった



「‥‥‥ユキ‥」



やはりこれは未練だ

執着だ


小十郎にも嫁はユキしか居ないと言ってしまった

挙げ句、日の本中を探し回るハメになった


これでユキを捕らえてどうする?

自分で出て行ったってのに、無理やり連れ戻したら怒るだろうか?

いや、怒る

怒るに決まっている



「政宗様、そろそろ朝議のお時間です」

「Ah.」



もう考えてもしようのない事だと分かっていて、政宗は何時までもそれを考えていた




2011.11.18.

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あきゅろす。
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