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駄目なんだ◇



しまったな

まさかだよな

でも、不安はあっても予想なんて出来なかった



ユキは燃え盛る炎の中に居た

父を母を、姉を、弟を、村を皆を、焼き尽くした炎だ


まったく、しつこいんだよ



「っ、‥‥ハァ‥ハァ‥ハァ」



なんで、

あの夜、政宗に救われたと思ったのに

あの一瞬で、救われたと思っていたのに‥‥


炎が全てを飲み込んで、ユキは刀を振り回した



「消えろっ、消えろ、消えろよっ」



振り回した刀に薙ぎ倒されて、敵兵がユキから距離を取った

尋常ではないその様子に槍が持ち出される



「消えてくれっ」



槍ですらユキを捕らえられずに空を切る

ギリギリの緊迫感が漂う中で稲妻が走った



「HELL DRAGON!」



ユキを取り囲んでいた敵兵をなぎ倒した政宗がユキに駆け寄る

ユキは泣いていた

近付いて来た政宗に思わず抱きつく



「ユキ?」

「駄目だ。駄目なんだ、政宗」



まるで子供のような泣き始めたユキに、政宗は戸惑う



「政宗が居ないと駄目なんだ!でないとまた炎が来るんだ、みんなを燃やしちゃった‥‥、あの炎が」

「okay.もういい、分かった。お前は俺の側に居りゃあいい」



ああ

お前が許してくれるから、私は此処に居てもいいんだな

お前が私の事をどう思っているのか知りたい

戒めだろうか?

友のように思ってくれているのか?

私はきっと、政宗の為に生き、そして死ぬ

だからどうか、私は政宗にとって戒めであって欲しい

道具のように、使い捨てられるもので有りたい


私は




しまったな

まさかだよな


政宗が居ないと生きていけないなんて




2010.11.11.

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