鬼子が鬼子を拾う◆
戦の終わった原っぱで、立ち尽くす影があった
その手には刃の欠けたボロボロの刀
もう元の柄も分からなくなったどす黒い着物
赤く染まった白髪の長い髪
鬼だと、そう思った
「‥‥hey.お前、何やってんだ」
「‥‥‥‥」
そいつはこっちをチラッと見たが、持っていた刀を落とすように地面に転がして此方に背を向けた
歳は十四、五ぐらいだろうか?
自分と同じくらいだろうと政宗は思った
「無視するんじゃねえ!」
近付いて、ぐっと腕を引けば細すぎる腕に思わず声を上げそうになった
少女(そうだ、近くで見たら女だった)は再び振り向いて、そしてそのまま気絶してしまった
思わず腕の中で支えて、その軽さにも驚く
「‥‥‥‥こいつ」
まっ白な髪
ガリガリの手足
血に汚れた‥‥‥
軽すぎて、政宗にも軽々と持ち上げられた
「政宗様、その者は?」
「飼う」
月は、まだ上らない
2010.4.27.
[次へ#]
[戻る]
無料HPエムペ!