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4:認めたくなーい








弱い

私、弱いよ?


だって所詮女なんて筋力的にも体格的にも男に劣るわけだしさ

そりゃ、もやしみたいな男に負ける気はないけどあんたは別格でしょう



「テメーは、弱いだろう?」

「‥‥‥そういうの、ムカつく」



弱い弱いと言われて、ムカつかない筈がない

自分で理解して、自分で言うぶんにはいい

だけど他人にそう言われるのは嫌で、認めたくない



「あんたは心ってものがないの?」



あ、言い過ぎ、た?







「かっ消す」

「え」



捕まれた腕に熱

思わず振り払うと目の前の男の手に炎が見えた

いや、炎なのか?

光を集めたように眩しい



「あっつ!」



掠める熱に体が震えた

逃げなくては、こいつがまだ遊んでいる内に

幸い注意はコユキだけに向いていて、ミランダには目もくれていない


わざと外して遊ぶザンザスにコユキは背を向けた



「‥‥逃げるのか?ハッ、やっぱりテメーは弱いんだろうが、なんで認めねぇ?」

「うるさい!私は喧嘩なんてする気がないんだから、逃げるが勝ちよ!」



直後に飛んできた炎は髪を焦がしてコユキのすぐ横を通り過ぎた

ああ、ほんとに悪趣味!

ライオンだって獲物は全力で狩るっていうのに



「そうやって遊んで何が楽しいの?一思いに殺ってくれた方が100倍いい!」

「誰がテメーなんかに本気になる?カスが」



カス?

ムカつく、ムカつくけど逃げるが勝ちなのよ

私は勉強も喧嘩も無理しない主義なの



「‥‥‥‥」



コユキが逃げた後で自分も立ち去ろうとしたザンザスは、ふと昨日見せられた写真を思い出した

自分の花嫁候補だとふざけた名目で机の上に広げられていた写真


その中に、確かにさっきの女が居た




2009.4.13



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あきゅろす。
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