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勝て





「私だってマフィアの娘よ。ただの部下に負けるはずないわ」

「‥‥‥‥」



返す言葉はない

ボスと婚約者殿(あ、まだ見合いだった)との間にどんな話しがあったのか分からないが、確実に巻き込まれている

ボスには此処に来る前に『勝て』とか言われるし、なんだか理不尽である


ユキはボンゴレの地下にある射撃場で銃を手にしながら、そんなことを考えていた



「‥‥始めろ」

「はい」



まずは10メートル

ユキが後攻で射撃対決が始まる

始まった今となっては聞きづらいが、なんで射撃対決なのかが分からない



「次だ」



10メートルは共に命中させ、20メートル、30メートルと距離を延ばしていく

距離が80メートルになった時だった



「‥‥‥っく」



婚約者殿が的を外し、ユキは外さなかった

ユキはホッと息を吐く

『勝て』た



「っ、銃よ!銃が悪かったの。重心がずれてたのよ」

「ユキ、そいつの銃で200だ」

「え?‥‥はい」



婚約者殿の銃を構えようとするが、その瞬間、ボスに眼帯を奪われる



「ボス!」

「勝て」



有無を言わさぬ命令にユキは従うしかない

青い左目で的を撃ち抜いた



「‥‥うそ」



寸分違わず的の中心を撃ち抜けば、驚嘆の声が隣りから洩れた

カタン

銃を置いたところでボスが立ち上がり、無言のまま立ち去ろうとしていた

婚約者殿は悔しそうに唇を噛み、引き止めることはしない


どうして?


二人の間になにか取引きがあったようだが、ザンザスはユキに教える気はないらしい

ユキも黙ったままザンザスの後を追った




2009.8.6.


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