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青い鳥は籠の中







「あのね、貴女もう少し自覚した方がいいわよ?でないとこっちがいい迷惑だわ」



アイリスは悟らせるように言った

知った方がいい

自分がどれだけXANXUSという男の奥深くに居るのかを


そしてその行動がどれだけ心配をかけているのかを

きっと今日も何も言わずに飛び出してきたに違いない



「ご、ごめんなさい」

「いいわよ。だって私、貴女のこと嫌いじゃないもの。ただ、そう‥‥」



アイリスは玄関近くで鳴ったであろう爆音には頭を抱えた



「部下の治療費と屋敷の修理代だけは請求させていただくわ」



頭を抱えて言った、その直後にドアを蹴破る音

そこにはXANXUS



「あ、ボス、なんで」

「言っておくけど、お茶してただけよ」

「‥‥‥‥」



不機嫌だ、この上なく

そんなXANXUSにユキは慌て、アイリスは呆れた


車椅子から立てないユキの元へ来ると、XANXUSはユキを睨みつけた

カタカタと震えてしまう

それを見かねたアイリスは一声掛けることにして、ユキの頭を撫でた



「それじゃあ駄目よ。女には優しくしなくちゃ。こんな風に」



頭を撫でて、頬にkissする



「クスクス‥‥、怒らないで?女同士よ」



ああ、面白い

あのXANXUSをここまで翻弄することができるなんて



「ひとつだけアドバイスよ。この娘は直球どころかデッドボールぐらいでないと駄目」

「‥‥‥‥」



ヒラヒラと手を振り、踵を返してドアに向かう

最後に一度だけアイリスは振り返った



「請求書は後で送るわ。あとは勝手に出て行って」

「‥‥‥‥」



結局、迷惑をかけただけになってしまった

アイリスの居なくなった部屋に沈黙が落ちて、そのいたたまれなさにユキは畏縮する
ああ、肌が灼ける



「‥‥‥ユキ」

「ビクッ‥‥‥」



名前を呼ばれただけでビクついてしまって、慌ててXANXUSを見上げる

目が合う瞬間にそらされた


ズキン



「あの、申し訳ありません。勝手に屋敷を出て、アイリス様やボスにご迷惑を」

「俺が」



ボスが?

此処に来て始めて口を開いたXANXUSに、ユキは目を見張る

続く言葉を聞き逃したくない



「俺がどうして此処に来たと思う?」

「え?‥‥それは、こちらに何か用事が?」



"直球どころかデッドボールぐらいでないと駄目よ"

アイリスの言葉が浮かんで、XANXUSは内心舌打ちする

どうすればいい?

結婚しろとはもう言ったぞ



「‥‥お前を迎えに来た」

「私?」



「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥二度は言わねえぞ」

「?」



長い沈黙の後にXANXUSは意を決した

見上げるユキをその紅い双眸に捉え、逃げることは許さない



「‥‥Ti amo.(アイシテル)」



言ってそのまま唇を塞ぎ、しつこく舌を絡ませる

無理やり酸素を奪って何も考えられないようにして、愛を語った自らを隠した


ああ

ああ、ボス


願いが叶ったわ



車椅子にもたれ掛かるだけのユキを抱き上げて、XANXUSはアイリスの屋敷を後にした



私はblue

ボスのblue

ボスだけのblue


私は貴方の幸福の青い鳥

私は貴方の腕の籠の中で飼い殺されるの






青い鳥は籠の中
2010.1.1.

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あきゅろす。
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