[携帯モード] [URL送信]
お母さんと呼ばせて!








スクアーロさんがボスの部屋で騒いでる

目覚ましがこれってのは変な感じだよなあ


XANXUSの部屋での寝起き(医者常駐)を強いいられたユキは、キングサイズどころじゃないベッドの上で頭を抱えた

長い眠りから覚めたばかりのユキは短い眠りを何度も何度も繰り返していて、たまにこうして騒音でも目覚めるのだった



「ユキはまだ起きたばっかだろうがぁ、入院させとけぇっ!」

「医者は置いてる」



あ、話題って私



「それに何だぁ!?一週間後に結婚式だとぉ!?無茶ばっかりさせてんじゃねえぞぉっ!!!」

「ハッ」



XANXUSに鼻で笑われたスクアーロがキレて、一段と五月蝿くなる


ああ、スクアーロさんの属性が雨の沈静だなんて嘘じゃないだろうか?

しかもガチャガチャ音がしてるから、またボスが色々投げてるんだろう

ああ、眠い

こんなに五月蝿いのに眠い



「そばに置くなら目を離すんじゃねえぞぉ、ったく世話の焼ける」

「‥‥‥‥」



どうやら珍しくスクアーロがXANXUSの攻撃を凌いだらしい

静かになった部屋で、これまた珍しく静かな声で言ったスクアーロの言葉がドア越しに聞こえた



「殆ど脳死みてえな状態だったんだからなぁ、本当に無理させんなよ」

「うるせー」


「てめっ」



XANXUSの暴言に言い返そうとしたが、スクアーロはやめた

XANXUSの視線の先にあるものが分かったからだ

その後は話し声は聞こえなくて、スクアーロがこちらの部屋に入って来た



「これでやっとXANXUSも落ち着くかぁ‥‥っと、起きてたのかぁ」

「どうも、スクアーロさん」



欠伸をしながら返して、眠いのかと聞かれる

はい、と答えて目を閉じればそのまま眠ってしまいそうだった



「‥‥‥‥」

「‥‥ふふっ」



本当に目を閉じていたら、ユキの頭を撫で始めたスクアーロ

それがまるで母親に撫でられているような感覚に陥って、だけどこれはスクアーロなんだと可笑しくなった



「なんだぁ?」

「お母さんみたいです」


「やめろぉ‥‥‥」



うんざりした声

流石に母親はなかったかな?


でも、本当にお母さんみたいだと、そう思った

お母さんは、お父さんも、多分小さい頃に死んだから

それにお兄ちゃんは、私が一人で生きていけるようになったら居なくなっちゃったし


スクアーロさんは私のお母さんで、お父さんで、お兄ちゃん何だと思う

面倒見いいし



「ね?ボスのことも、何だかんだ言ってお世話してますし。ていうか、ボスのお世話できるのスクアーロさんだけですよね」



ユキがそう言えばスクアーロはやっぱり心外みたいな顔をしていた



「せめて父親にしとけぇ。いや、そうするとXANXUSの義理の父親になるのかぁ?」

「ふふふっ、それは楽しいですねぇ」



楽しくねぇっ、そう言われてまた笑って

ユキは今度こそ眠りに落ちた



「ユキ?‥‥‥寝たのかぁ」



スヤスヤと眠るユキを見ていると不安になる

このまま、また、目覚めないのではないかと

もう二度と、起きないのではないかと


確かめるように頭を撫でる



「‥‥‥お母さん」

「っ、いい加減にしろぉ」



抗議の為に頬をつねってやった

だが起きる気配なんてなく、にへにへと笑っている


ふとスクアーロの頭に過(ヨ)ぎる、胸の中にあった疑問






「なぁユキ、本当にXANXUSと結婚すんのかぁ‥‥」




ユキはやっぱり笑っていた






2009.12.26.

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!