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ハミングすると幸せ





ユキが眠る、少しだけ前のこと



「あの〜、ちょっと思ったんですがね」

「なんだぁ」



ユキが毎日お菓子を用意するので、いつの間にか大広間の一角がたまり場になっていた

今日も幹部が集まってご相伴に預かっていた

猫舌な為に手にした紅茶を延々冷ましながらユキは切り出した



「いつの間にか普通に働いてますけど、私、さらわれて来ませんでしたか?」

「「「‥‥‥‥」」」



今まで騒がしかったわけではないが、シンと静まり返った中で首を傾げるユキに視線が集まった


気づいたら居たからわかんね(ベル)

知らないな(マーモン)

そういやぁ、どうだったっけ‥‥(スクアーロ)

知らん(レヴィ)



「なんかある日目つきの悪い男にお腹殴られて気絶して‥‥、そんで気づいたらボスの部屋に、‥‥‥って、ああぁっ!

「な、なんだぁ!?どうしたぁっ」



今まで大人しく悩んでいたユキが上げた大声に、スクアーロのみならず、そこに居た全員がびびる

そしてユキははっきりとこう言うのだ



「殴ったのってボスだ」



しーんとする部屋の中で、ユキはそうだったそうだったとひとり納得する



「そうだ!起きたらボスにあれやれ!とか、これやれ!とか理不尽に仕事やらされて、いつの間にか部屋も貰ったからまぁいっかってなったんでした!」




それ誘拐じゃね?(ベル)

拉致だよ(マーモン)

俺もボスに殴られたい(レヴィ)

てめぇは何でそれで自然に働いてんだぁ(スクアーロ)



どうやら自己完結したらしいユキは鼻歌なんぞ歌いながら上機嫌に紅茶を飲んでいる


今の話しに上機嫌になるような所なんざあったかぁ?(スクアーロ)

その疑問をそのまま聞けば、馬鹿みたいに頬を染めたユキが溜め息混じりにこう言った



「ボスが直接ってのがいいんじゃないですか」



いいかぁ?(スクアーロ)

いい(レヴィ)

‥‥‥恐(マーモン)

おもしれっ(ベル)



「もう腹一杯だぜぇ」



つまりはノロケだろ

呆れたスクアーロが立ち上がって、マーモンとベルも席を立つ

レヴィだけはユキに共感して残って



「ユキ、ボスのファンクラブに入れてやろう」

「マジですかぁっ!?」



誰かあの馬鹿話しを止めてくれ

だが通りかかったのは話しの中心のXANXUSで、二人が更に盛り上がったのは言うまでもない




2009.11.25.


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