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愛を引き替えにする銃声





いい加減、終わりにしたい

適わないからと言って賞金首なんて冗談じゃない

でも、もし

もしね、



「お嬢さん、少しご一緒しませんか?」

「何よ、あんた誰‥‥‥!!?」



―ガチャ

テーブルの上で銃を向けた

人目は気にしない

どうせ周りはこの女のガードだけだ



「っ、どうやって」

「ヴァリアークオリティーというやつです。今日はお話があって来ました」



事態に気付かず注文を取りに来た店員に、ユキは紅茶とチョコレートケーキをオーダー

余りに自然に銃を持つ手をマフラーで隠したので、決して気づかれはしない



「‥‥‥‥ボスを」

「!、え?」


「アイリス様はボスを、愛してらっしゃいますか?」

「は?」



思いも寄らない質問にうろたえた

アイリスにとって、XANXUSは恋愛の対象ではなく政略的な要因の方が勝つ相手だった

アイリスのファミリーにヴァリアーという後見が付けば今より大規模な動きを取れる



「なによその質問?マフィア間の結婚に恋愛は絡まないわ」

「でも、もし結婚したら、ボスを愛して下さいますよね?」



この女は何を言っているんだろう?

ボンゴレの特殊暗殺部隊ヴァリアーの一員にして、かつて青き悪魔と謳われたユキという女

調べたわよ


あれだけ見事な射撃に負けたんじゃ、正体知りたいじゃない

それがなに?

突然現れて、XANXUSを愛してるかですって?



「あなた、彼を好きなの?」

「!、いえ。ヴァリアーにとっても、アイリス様のファミリーと親戚関係を結べれば得は多いのです。だからボンゴレも見合いを断らなかった」



九代目も、ボスに判断を任せた

私だってボスが決めたことなら受け入れる



「けれどボスは条件を付けた。貴女が私に勝つこと」


「‥‥そうね」


「ボスは私に何も言いません」



言ってシュンとしたユキ

ちょっと待って、この子、私に恋愛相談でもしたいの?

確かにあのヴァリアーに恋愛相談なんて出来そうな人は居ないだろうけど‥‥‥


馬鹿みたいだわ



「それで?結局どうしたいの?私は彼とは恋愛抜きで結婚してもいいと思ってる。どうせお父様にとって私はファミリーの駒に過ぎないもの」

「私が知りたいのは、貴方がボスを一番に考えてくれるかどうかです」



馬鹿みたいだわ、本当に

だって愛してると言ってるのと同じでしょう?

でも、そうね、私に選べる道なんて無いんだったわ


アイリスは諦めたようにテーブルに肘をつくと、その手に顎を乗せて笑って言った



「XANXUSを愛すわ」

「では、私は消えましょう」



ガチャ、テーブルに乗せていた銃を額にあてる

その行動にアイリスも周りにいたガード達も目を見開いた



「ちょ」

「サヨウナラ、ボス」



咄嗟に伸ばしたアイリスの手が銃に触れるが、引き金は引かれた

血が飛ぶ




ふざけないでよ

なんで否定したのよ


これが愛じゃなかったら、何だって言うの?





2009.11.13.


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あきゅろす。
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