egoist
思えばボスはどこで私を知ったのだろう?
特別宣伝していた訳でもないし、沢山仕事を請け負ってもいなかった
「ああ、お前、一度キレて街中で銃ぶっ放したことあっただろぉ?」
「‥‥‥‥‥?」
まるで覚えのなかったユキは首を傾げた
それに気づいたスクアーロが面倒くさそうに、だが親切に(この男は意外と律儀なのだ)説明してくれた
「三年ぐらい前か‥‥。どっかのバカが街中でぶっ放しやがってよぉ、ガキに当たったんだよ」
「‥‥あぁ」
それだけで思い当たったのか、ユキの瞳が冷めたものに変わった
ことにユキは子供をマフィアの世界に巻き込む事を嫌うのだ
あの時も何の関係もない子供に弾が当たったことでユキは頭に血が上って、瞬間的にライフルを構えたのだった
「面白かったぜぇ?カフェに座ってた女が、いきなり銃をぶっ放しやがったんだからなぁ」
「あれは!だって」
「何やってやがる」
いきなりの声にびくりと反応した二人は、その聞きなれた声に振り返った
因みに二人は広大なヴァリアーの屋敷の一角にある木の根元に座っていたので、彼、というか誰かが此処に来るとは思っていなかった
「ボス!」
「何でもねぇよ、っっって グエッ」
足蹴にされたスクアーロを後目に、去っていくXANXUS
それを見送りながら、ユキはクスクスと笑っていた
ボスってばこの間から可愛い!
「なに笑ってやがんだぁ?」
「ボスのこと好きだなぁと」
ああ、自分は多分
一生こいつらに振り回されていくんだろうと、この時初めてスクアーロは確信した
2009.10.18.
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