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幸福とは降伏





ボス、ボスボス

願いが叶ったわ




ボスの腕の鳥篭の中で、私は飼い殺されるの



「ボス」

「‥‥‥‥寝ろ」



ザンザスの熱い手がユキの視界を塞いだ

逆らうように身動ぎするが、意識はゆっくり眠りに落ちていった


ボス

もっと触れていたいの

触れていて欲しいの






ああ

願いが叶ったはずだったのに



ボスはスルリと私を鳥篭から解き放つ

ボスが私の羽根を千切り棄てたっていいって言ったじゃないか!













「‥‥‥‥‥あ、れ?」



目覚めればまだ外が暗い

早く起き過ぎた?


疑問に思い、だが近くに時計が無いので確認できない

自由に動くことができず、ユキは闇に馴れようと目を凝らした


やがて見つけた深紅の双眸



「あ、れ?ボス?」



「起きるのが早ぇ‥‥」

「すいません」



ボスは私を腕から解放すると、一人でベッドから出て行ってしまう


ああ、あれ?

もしかしてボスってば照れてる?


首筋が少し赤い


なんで

どうして?



思えばヴァリアーに入隊した当初から怖いもの知らずだったユキは、なんの躊躇もなく思った事を口にする

やっかいだ



「ボス、ここは寝顔見られた私が照れるところじゃないですか?」



幸福とは降伏

惚れた弱みとはよく言ったものだ


XANXUSは寝ずに寝顔を見ていたとは言えず、バスルームに消えた




2009.9.30.


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