足蹴にする
もともと私は伊達政宗なんて先輩とは、縁(エン)も縁(ユカリ)もなかった
有名な先輩だから名前ぐらいは知っていたが、向こうが私を知ることは万に一つ、億に一つ、兆に一つだってない筈だったのだ
私が伊達政宗を足蹴にするまでは
「「‥‥‥‥‥」」
悪かった!
いや、すいませんでした?
なんと言っていいか分からず、政宗に馬乗りになったまま思考する
一緒に歩いていたらしい猿飛という先輩と真田という先輩は、痛そ〜とか(楽しそう)、大丈夫で御座るか!?とかいつの時代の人間かとツッコミたくなる発言をかましている
しつこいかも知れないが、私は未だに伊達政宗に馬乗りのまま、謝り方を模索していた
「oh,shit!誰だ俺に乗っかってんのは」
「‥‥‥」
―ガンッ
シュゥーと音が出そうなほど強く政宗の頭を床に叩きつけ、ユキは逃走を図ることにした
この人に関わって大丈夫な人間はほんの一握りであり、自分がその一握りには属さないことをユキはよく知っていたのだ
まだ政宗が衝撃の余波に苦しんでいる内に、ユキは階段の続きを駆け降り始めた
背後からは政宗の呻き声と罵声
ヤバい、ヤバい
目ぇつけられたらこれからの学校生活が終わるとこだった
まんまと逃げおおせたユキは家路を急いだのだった
2009.12.9.
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