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竜の策謀






「oh?どけよ貴蝶」

「通すこと、まかり通りませぬ」



雪の部屋へと続く廊下で、貴蝶が政宗の前に仁王立ちしていた

政宗が一歩踏み出せば貴蝶の手にはクナイが握られる



「物騒だな」

「貴方様が雪様にした事を考えれば、当然に御座いまする」


「Ha!」



鼻で笑った政宗は、面白そうに貴蝶を見やる

雪が唯一伴ってきた忍

どうやら真田幸村のところの猿と知り合いらしいが、その実力を政宗は知らない



「俺が雪にしたこと?夜のことまで言われる義理はねえぜ」

「せめて日をお置き下さいとお願い申しておるので御座います。雪様はお疲れに御座います」



断固として通す気はないらしい

だが政宗としては貴蝶は味方に付けておきたいところだ

貴蝶には、言っておくべきか



「‥‥‥‥貴蝶、俺は雪を正妻に据える」

「!、雪様を」



驚きにクナイを持つ手がピクリとする

貴蝶は雪は側室として伊達に迎えられたと聞いていた

そうして昨晩、側室として政宗に召されたのではなかったのか



「頭の硬てえ奴らは俺がどうにかする。雪の心もな」

「信ずる証拠は?」



鋭い鷹の目をして、貴蝶は政宗に問うた

すべてを見抜こうと光る双眸に政宗はニヤリと笑った



「証拠なんざねえよ。trust me.雪を泣かせたりしねえ」



政宗の隻眼を真摯な眼差しで見つめながら、貴蝶は考えていた


雪様はこの男が好きなのだと言った

雪様が信ずるならば、この男は信ずるに値する男なのかも知れない


雪様の信じる伊達政宗を、信じる



「‥‥‥今は信じましょう。ですが今宵は」

「これも計画の内だ。下がれ」



その言葉に貴蝶は一度顔を歪ませるが、一礼して姿を消した

少し先の部屋には明かりが灯る

雪の部屋だ



「雪」

「!、政宗殿」



もう寝るところだったのか、寝間着姿の雪がこちらに振り向いた

遠慮などなく部屋に入り、敷いてあった布団の上に寝転がる



「一緒に寝ようぜ?」

「御一緒に、で御座いますか?」



オロオロとし始めた雪にニヤリと笑って、政宗は近くまで来た雪の手に触れる

それだけで頬を赤く染める雪に政宗は満足そうに笑った



「so cute.」

「あの」


「so cute.可愛いって意味だ」



手招いて顔を近付けた雪に口づけを要求すると、恥じらいながら唇を重ねて離れていく


北の猛将、安積雪

今は、伊達雪



「very lovely.いい気分だ」

「‥‥政宗、様」



夜の帳(トバリ)が落ちる

布団の中に雪を招き入れれば、小さな誤算が生じて政宗は頭を掻いた



「embarrass.今夜は本当に寝るだけと思っていたんだが」

「??」



首を傾げた雪に、政宗は思いっきり噛みついた

夜の帳が落ちる



明日も貴蝶に睨まれるな

思いながら政宗は雪を腕に抱いた





2009.12.23.

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