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右目の策謀2





「雪を次の戦に連れていけ?」



突飛な小十郎の意見に、政宗は目を見開いた

小十郎の話しはこうだ

重臣達に雪の正室としての価値を見せよ


確かに、いきなり雪を正室に据えると言えば多かれ少なかれ、文句を言うものが出るだろう

それを考えれば、家柄や政略を武器にできない雪を売り込むには最高の方法かも知れない



「雪様は武芸に長け、北に於いてはその名を知らぬ者はおりますまい」

「Huh.まあ俺も考えていたことではある。だが、使いどころが大事だぜ?」


「それはこの小十郎にお任せ下さい」



少し考えた政宗がその言葉に了承の返事をする

それを雪は困った様子で聞いていた


私が次の戦に?

僅かに胸が高鳴って、雪は盆に乗せた茶を落としそうになる

その気配を察して声がかけられた



「Hey!雪か?」

「は、はい!お茶をお持ちしました」



慌てて顔を出せば笑みで迎えられ、雪は少し顔を熱くした

政宗と小十郎にお茶を差し出し戻ろうとするが、それを政宗に止められた



「次の戦にアンタを連れて行く。使わせてもらうぜ?」

「誠で御座いますか?ありがとう御座います!」



聞き間違いではなかった!

次の戦に使ってもらえる、お役に立てる!


政宗殿は理想の旦那様

貰い手のない私を娶って下さり、病弱な弟の後見まで担って下さった

政宗殿が父を討ち取った、その事実を忘れた訳ではない



「まだ試考段階ですが、雪様には政宗さまのお側に付いて戴こうかと」

「この命に換えましても、お護り致しましょう」



身体の傷が誇りだった

力強い手足も、硬くなった手の平すら



力強く語る雪を、政宗は満足そうな顔で見ていた




2009.8.16.


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