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夜 嵐





小十郎は今日何度目か、深く思案していた

この修羅は自分を欲しいという


気でも触れたかのような提案に、頭痛がしたのも確かだった



「政宗様が最優先だぞ」

「わかった。それで、そちらの条件は?」



当たり前のようにユキは言った

ユキは小十郎を気に入っていたし、触れるなら小十郎だけでいいと思っていた

だが男として慕っているわけではないし、一日の内に少しの時間、触れていたいと思うだけだった



「伊達以外にはつくな。俺の小姓として振る舞え」

「小姓か‥‥、なるほど、いいだろう」



小姓という歳でもなかったが、ユキは女であったし、誤魔化しがきかないほど老けてもいなかった


戦、には

連れて行くつもりなのだろうか?


ユキには小十郎の真意は掴めない

だが言われれば行くだろうとユキは思った



「何と呼べば?」

「小十郎でいい」


「では小十郎様、と」



部屋に案内され、今日は此処で寝るように言われる

ふと、ユキは小十郎を見上げた

言っていいだろうか?

断られるだろうか?



「なんだ。何か言いてえことでもあるのか?」

「‥‥‥頼みがある」



一度目を伏せた後、再度見上げてユキは言った



「言え」

「一緒に寝たい」



今日二度目

小十郎が面白いようにピシリと固まるのを、ユキは吹き出しそうになりながら見ていた




2009.11.12.
【夜嵐】ヨアラシ;夜に吹く強い風


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