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北の双剣(ヴィオラとヴァイオラ)





いまは何処、北の彼の国(カノクニ)に二本の守護剣があった

王と国を守る為に生まれたその剣は、今も子孫に受け継がれていると云う







20XX年、イタリア



XANXUSの急な呼び出しに、スクアーロは任務を早々に終わらせて今は屋敷内を足早に歩いていた

もちろんXANXUSの部屋を目指してだ



「おせぇ」

「んだとぉ!?テメーが任務中に呼び出したんだろうがぁ、一体何だってんだぁっ!?」



部屋に入って開口一番に出迎えた言葉はいつもの通りだった

それにいつものように返して、スクアーロの視線はふと、窓際に向く


白い、花‥‥‥人?



「誰だぁ?」

「沢田綱吉からの預かりもんだ。テメーに預ける」




思わぬ名前がXANXUSの口から出たことで、スクアーロは閉口した

まさかXANXUSが沢田綱吉の名前を口にするとは


それよりも、預けるってのはなんだ?



「私ではヴァリアーの方に繋ぎは取れないので、ボンゴレ]世(デーチモ)にお頼みした」



何を?

問う前に此方に歩み寄って来た女は、白く長い髪をしていた

それでいて瞳は海のように青い



「それで、ヴァリアーに何の用だぁ?」

「いや、XANXUS様に会いに」



言ってキハネは自分の両腰にそれぞれ下げてあった剣に触れて笑った

それだけで瞳は色濃くなり、深海を思わせた



「何なんだぁ、テメー‥‥」

「我、北の双剣。ヴィオラとヴァイオラ」



物語を紡ぐように、キハネはスルリと剣を抜いた



「受け継ぎし力は貴方の為に使う」

「?、XANXUSに会いに来たんじゃねぇのかぁ?」



自分の前に跪き剣を捧げる姿勢をとったキハネに、スクアーロは狼狽する

キハネは微笑み、剣を収めた



「貴方の為にXANXUS様にお仕えする。貴方は命の恩人、我が最愛の君」

「ブッ‥‥クククッ‥」

「テメッ、笑ってんじゃねえぞぉXANXUS!俺はこんな奴知らねえぞぉ!!」



"最愛の君"

その物言いに笑ったXANXUSと怒り出したスクアーロ

キハネは至って真面目に言ったのだが、そんな



「やはり、覚えていらっしゃらないか」



多少の落胆が込められた言葉に、スクアーロは居心地の悪さを感じる

覚えていない、というか、一片の記憶も有りはしないのだ



「XANXUS、テメー何企んでやがる?」

「黙って持ってけ、クソザメ」



持ってけだとぉ?

視線をキハネに移せばにこりと微笑まれた

ふざけてやがる



「よろしく頼む、最愛の君」

「その呼び方やめろぉっ!!」



他の奴らにまで聞かれたら、1ヶ月はからかわれる

この為にキハネを預かってきたのではないかと、スクアーロは疑う


しかし実質その通りなのだと、スクアーロが知ることはないのだった




2009.10.28.

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