優しい嘘
頭がボーッとする
記憶の一部に靄(モヤ)がかかる
目覚めた時、ラビの前にはボスが居た
聞けばラビは任務中に頭を打って気を失ったのだという
「すいません、ボス。貴方は私のボス、ですよね?」
「どうしてそんな事聞くの?記憶喪失ってやつ?」
記憶喪失?
そうかも知れない、だって何も分からない
思い出せない
「すいません、私は、私の名前は、ラビ、ですよね」
「そうだよ。ラヴィニア・サントス。僕の秘書、兼護衛役」
秘書、護衛
ラヴィニア・サントス
私は、ボスを守ってた
ああ、ボスに怪我は無いみたいだ
「良かった」
「なに?」
「お怪我はありませんね、ボス」
本当にほっとして安堵の笑みを浮かべるラビに、ビャクランは珍しく罪悪感を覚えた
目の前で沢田綱吉を殺したって言うのに
「うん。そうだね。ラビのお陰だよ」
頭を撫でて、笑ってあげる
沢田綱吉が君にそうしたように
優しく、優しく、優しく、
「‥‥ボス」
ほら、人ひとり手なづけるなんて簡単だ
「ゆっくり、思い出せばいいからね」
2009.10.6.
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