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若を、助けて
※ワンピース




何時から、どうやって、若を救いたいと思い始めたのかは定かではない

小さな若に出会った時から気になる奴とは思っていたが、まさかこの年齢に至るまで側に居るとは思ってもみなかった

では好きかと聞かれたなら、嫌いだとユキは答えるだろう

天竜人として生まれたドフラミンゴは例にもれず高慢不遜で、人間性が疑わしい

人が人の上に立つという考え自体がそもそもユキには受け入れられなかったが、彼らは自分を"天竜人"という人間とは別の生物だと思っている節があるので、それはそれで受け入れてもいた

そしてこの正念場に来ても、まだドフラミンゴを切り捨てられない自分に、ユキは泣きたくなった

ドフラミンゴは、疾うにユキを切り捨てているというのに

それでも望まずにはいられない



「‥‥‥助けてくれ」

「?、何だ?」



モンキー・D・ルフィに負け、地面に這いつくばりながら考えるのはドフラミンゴのことだった

滑稽だと自分で分かっていた



「麦わら屋、そいつはドフラミンゴの腹心だ。耳を貸すんじゃねェぞ」


「若を、助けてくれ」



そう言いながら、とうとう涙が流れてしまった

自分に力があったなら、或いはドフラミンゴの大切な家族になれていたなら

きっと止められた筈だった



「アンタはいつだって、ドフラミンゴの味方だったよな」



腕に錠をはめられたまま、ローがユキを見下ろす

知らない仲ではなかったが、接点は殆ど無かった



「若は、天竜人という枷に捕らわれているだけなんだ、世界中、みんなそうだろう?」



長い間押し止めて来た感情が溢れ出し、それをとめる事もなくユキは続けた

どうせもうドフラミンゴには会えない

此処でユキも鳥籠に捕らわれて死ぬ



「ドフラミンゴも、環境の犠牲者だとでも言う気か?」

「人に優劣なんて付けるからいけないんだ、天竜人もただの人なのに」

「‥‥‥‥」



まだ事情を知らないだろう二人に言っても仕方ないだろうか?

だが全てを話すことは出来なくて、ユキは二人を見上げた

ルフィはしっかりとユキの事を見ていて、一筋の光がそこに宿る



「事情はなんか分かんェけど」

「オイ!麦わら屋、まさか」



ローの悪い予感は的中している

この後のルフィの言動など、彼の性格を知る者ならば簡単に予測できるだろう



「お前の心は受け取った。ドフラミンゴに渡して来てやるよ!」

「‥!‥‥」

「‥‥チッ」



保証など何処にもない

信ずる証拠も、何もない

それでも



「俺にまかせとけ!」



この言葉を信じずに、何を信じるというのだろう?




ドフラミンゴと見せかけて、
実はルフィ夢?

2014.9.23.

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