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真田幸村の妹に求婚する伊達政宗
※戦国バサラ




戦場に対の赤が並んでいた

二本の槍を手にした男と、細身ではあるが同じく二本の槍を手にした女


傍目から見て直ぐに分かるほど二人はよく似ていた

二人は双子だった



「源二郎、今日は私が政宗殿とお相手致す」

「なっ!?狡いぞユキ!」


「おぬしはこの間イイトコロまでいったで御座ろう?今度は私に譲れ」

「っ、狡いで御座る」



諦めたように悪態をついた幸村は、がくりと肩を落とした

幾度となく繰り返した順番決めだが、ここ最近は交互に戦うと決めていた

だから今回はユキだ

幸村に同じく炎の婆裟羅使いであるユキは、その瞳にも炎を宿しながら政宗を待った

其処へようやく待ち人が現れれば顔も綻ぶ



「Hey!待たせたな!!」

「待ちわびておりましたぞ、政宗殿!」



ユキが一歩前に踏み出すと、政宗は難しい顔をした

それを前に、ユキと幸村は首を傾げる

幸村に至っては、悪いものでも召されたか?と聞く始末



「uhm...ユキ」

「なんで御座ろう?」



戦う気満々のユキを前に、馬から下りた政宗は真剣な眼差しを向けた

その様子にユキも幸村も少なからず緊張する


ま、まさか、我々と戦うのに飽きた、とか?



「嫁に来い」

「「へ?」」



さすが双子

首を傾げる同じポーズで同じ台詞

だが、意外にも先に復活したのは幸村だった



「は、は、破廉恥なっ!?いきなり何を申すかと思えば嫁に来いっ?」

「Ah?別にproposeぐらいいいだろ?」

「ぷろぽ?」



顔を真っ赤に染めた幸村に対し、ユキはいまいち状況が分かっていない様子で聞き返す

嫁?

つまり、私を、政宗殿の室に?



「どうだユキ?俺の所に来ないか?」

「此方に来るのが面倒でしたら、我らが奥州へ赴きますが?」


「別に甲斐に来るのが面倒だって言ってんじゃねえよ。アンタとはもう戦いたくねェのさ」



そんな政宗の言葉にユキは衝撃を受けた


戦いたくない?

私と?



「政宗殿っ!?某は許し難く存じ上げる!我が妹ユキには某を倒した後に求婚されよっ!!」

「okay.だったらさっさと始めようや」



ユキそっちのけで始まった戦いを、ただ呆然と見つめる

ただ一つ言える事は、頭に血の上った幸村では政宗に勝てないということだけだ

それが真実になるのは一刻の時は掛かるだろうと思い至るが、ユキはそのまま二人を見ていた





「何とっ、某としたことが不覚を取るとはっ」



ユキが思った通り、幸村が地に膝をついた

政宗は一息着くとユキに振り返った



「ユキ、もう一度言う。嫁に来い」

「‥‥‥奥州が竜神に求婚されるは名誉なこと、それが気心知れた政宗殿ならなおのこと」


「なら、」

「クッ、ユキ」



ユキを抱き締めるつもりなのか、両腕を広げて近付いて来た政宗にユキは槍を突き付けた



「Huh.どういう事だ?」

「己より弱き殿御に用はありませぬ、勝って奪うが宜しかろう」



やっぱりアンタは上等だ、そう言った政宗と刃を合わせたユキのその後は、また別の話し




2014.6.18.

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あきゅろす。
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