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ドフラミンゴが迎えに来る
※ワンピース
続・『霧散して消える女とドフラミンゴ』




ピンク色の、小さな羽根のピアスを買った

あとピンク色の手帳とかペンとか下着とか、好きじゃなかった筈の色を集めて身に付けていた

理由は分からなかった


ただユキの胸の中には空虚にも似た穴があって、それを埋めようとするようにそれらを買い集めている事には薄々気付いていた

何も変わらない筈なのに、昨日とは何もかもが確実に違う

そんな想いを抱えて暮らす事にも慣れた頃、それは現れた


空虚の輪郭を撫でるもの


それはエラくファンキーなおっさんの姿をしていて、ユキは困ったように笑った

その紫色のサングラスの下の瞳は見えない筈なのに、真摯な眼差しがユキを捉えていると分かった



「お前だ」



そうだ

周りに大勢の人が居る中でおっさんの眼差しは確かにユキを捉え、その声はユキに向けられていた

その事に、何故か心が浮き上がった

ピンク色を集めた理由がこのピンク色の羽毛のコートを着た男ならば納得がいった



「貴方を、知っているような気がする」

「‥‥‥フッフッフッ、同感だ」



見つめながら伸ばした手が、男の頬を包む

それを促すように猫背になっていた男に、ユキは何故か涙が出る想いだった


そしてこれは、既にこの世界にとってユキは異質であると、そうハッキリと突き付けられた瞬間でもあった


だから周りの誰もが二人にぶつからないにしろ、気付いてはいない風であったし実際そうだったからだ

悲しくはなかった

欲しいものはひとつだった


そのたったひとつの為に、全てを失うのだとユキは悟っていた



「貴方が欲しい」

「フフフッ、随分と贅沢な願いだなァ?」



次の瞬間には抱き上げられて男の胸へと収まる

空へと舞い上がった二人に、誰も気付く者は居なかった




2014.11.25.

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