Evidence 愛 彼は部屋で、相変わらず芸術作品を作っていた。 あたしはもう彼の部屋は勝手に入るようになっていたから、そのまま遠慮なく部屋に入っていく。 いつもは笑顔で迎えてくれる彼も、今日は違っていた。 あたしが部屋に入ってベッドに腰掛けても、振り向きもしない。 「ねぇ。」 あたしは声をかける。 しかし返ってきたのは素っ気ない返事。 「なんだよ。忙しいから邪魔すんな、うん。」 そんな風にあしらわれたのは初めてだ。 でもそうさせてしまったのはあたしに原因がある。 何度も何度も、サスケのことで不信感を与えてしまったあたし。 もうきっと彼は怒りを通り越して呆れている。 だから、あたしは決意を固めた。 あたしは立ち上がり、行動を開始する。 その不信な動きにデイダラも思わず振り返った。 そして彼は目を見張る。 「お前何してんだよ。…うん」 あたしは上着を脱ぎ、シャツに手をかける。 するとデイダラは急いであたしの手を止めた。 「どういうつもりだよ…やめろよ。」 デイダラは困ったようにあたしを見つめる。 「そういうつもりだよ。」 あたしはデイダラの目をしっかり見つめた。 そしてあたしは伝える。 「あたしはデイダラが居ないと生きていけない。それを分かってほしい。」 「あぁ、分かった」 「じゃあここからはデイダラが脱がせて。」 あたしがそう言うとデイダラは顔を赤らめた。 そして首を振る。 「いやいや、そんな急がなくてもオイラ待つって決めたんだよ。」 「でも、とにかくこれだけ脱がせて!」 あたしが、そう叫べばデイダラも渋々脱がせにかかった。 シャツを脱ぎ、あたしは彼に背中を向けた。 「お前、これ…」 あたしの背中を見て、デイダラが絶句した。 「い、痛そうだな。」 あたしの背中の刺青を見ながら、彼はS級犯罪者らしからぬ発言をする。 あたしは微笑し、 「これはデイダラの鳥だよ。」 と言った。 あたしの背中には二匹の鳥がいる。 一匹は金色の鳥、もう一匹は青い鳥。 あたしなりに、彼を象徴したものを彫りたかった。 「綺麗だな…うん。」 デイダラはあたしの背中をなぞる。 その指に鳥肌が立つ。 「あーだめだ!我慢できねぇ!うん」 彼はいきなりあたしの背中に飛び付いた。 素肌にデイダラの腕が絡み付く。あたしはその腕をそっと握って言った。 「もう、我慢しないで。」 背中に鳥を彫る時点であたしは決意を固めていた。 「早くデイダラのものになりたいよ……。」 「そんなこと言うなよ。優しく出来なくなるだろ?…うん」 だけどデイダラは優しくベッドに導いて、キスをしてくれた。 浅いキスから、だんだん深くなる。 彼の唇は、首もとまで降りた。 やっとデイダラと一つになれる。 安心感で涙が頬を伝った。 [*前へ][次へ#] [戻る] |