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Evidence
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1度あたしは義父に殺されかけたことがある。

なぜかあたしは、寝ているときに首を絞められていた。

苦しくて急いで目を覚ますと、義父は

『なんだ、起きたのか。目覚めなければ楽に逝けたのにな。』
とあざ笑うかのように言った。

それ以来、家では眠れなくなった。

だから今も夜はうまく寝付けないことがある。

何度も怖い夢を見て、うなされることがある。

だから夜って嫌いなんだ。

今日も眠れなくって、
外に出た。

外は、風が心地よく吹いていた。

アジトはとにかく空調が悪い。眠れないのは、そのせいもあるのだろうか。

少し歩いて、湖まで来た。
多分あたししか知らない秘密の場所。

修行に疲れたら、ここで昼寝するのがあたしの日課だ。

木にもたれかかって、座り込む。
夜の湖に来たのは初めてだ。
月の光に照らされて、湖の水がキラキラ光っている。
とても静かな空間で、まるで世界にたった1人しかいない気分になる。

それは、寂しいことなのかな。
だけどあたしからしてみたら、サスケが居ない暁の空間の方が寂しい。

こんなに、あたしは彼のこと好きだったっけ。
1日1日、サスケへの想いがつのる。
どうして・・・・

「眠れないのか?」

「え?」
いきなり声がした。
声のもとに振り返れば、暗闇の中でも目立つ金色が見えた。

「わりぃな。お前が出てくの見えたからついてきちまった、うん。」

何も言わずにいると、デイダラは黙って隣に座った。

しばらく彼は何も話すことなく、湖を見つめていた。

なぜわざわざ、付いて来たのか知らないけれど1人になりたかったのに。

あたしは少しだけデイダラを鬱陶しく感じた。

「なぁ。」
デイダラはあたしを見る。

「なに?」
だけどあたしは彼の方を向かなかった。

「お前、一体何に縛られてんだ?うん。」

「別に・・・何も・・・。」
デイダラは何に気付いたんだろう。

「美里と一緒に宿で眠ったとき、うなされてたぞ・・・うん。」
あたしは目を伏せる。

「お前が必死に、修行を毎日する理由はなんだ?
殺したくなかったのに、なぜあの敵を殺したんだ?」

そんなの・・・デイダラに関係ない。

あたしはイライラしていた。
今は嫌いな夜だからかな。

デイダラの質問に答えず立ち上がる。
彼は寂しそうな目であたしを見つめた。

デイダラがデイダラなりに心配してくれているのは分かる。
でも、今日は心底ほっといてほしい。

あたしは冷たく言い放った。
「デイダラに関係ない。」

そして、帰ろうと歩き出す。

「待てよ!うん!」
後ろから手を引っ張られた。

なんで一人にしてくれないの?

「オイラには関係ないことかもしんねーけど、悩みあんなら相談しろよ!」

なっ?そう言ってデイダラは悲しそうな顔で笑った。

「なんなの・・・。」
あたしは下を向いて何も言えなくなった。

ここまで必死に、あたしと向き合おうとする人初めてだ。

今まで、あたしの周りにいた人は黙って側にいてくれる人だったから。

だからあたしが、ほっといてと言ったら、ホントにほっといてくれるだろう。


でもデイダラは違うのか・・・。
デイダラはそっとあたしの頭を撫でた。

「美里・・・。お前の力になりてぇんだ、うん。」
デイダラの優しい声が降ってきた。


思い起こせば、デイダラはあたしを助けてくれた人だ。
いつも彼には助けてもらったり、楽しませてくれたり・・・。

あたしは結局、自分のことしか考えていなかったんだ。



でも暁にあの人が居る限り、サスケを思い出してしまうんだろう。

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