Evidence 裏切り 事の発端はあたしがまだ生まれる前。 あたしの血がつながらない父、フジはあたしの実の父ミハルとは親友同士だったそうだ。 そしてフジには婚約者のサトコがいた。 親に決められた結婚とは言え、フジは昔からサトコを愛していた。 だがサトコは 『親に決められた結婚なんて嫌!』 と散々言っていたそうだ。 だがサトコもまた、フジのことを愛していた。 サトコとミハルとフジは昔からの幼なじみで3人でよく遊んでいた。 サトコとのことをフジはミハルに相談していた。 『サトコはオレとの結婚を嫌がる・・・。』 『それはアイツの性格上しょうがないことさ。自分の人生は自分で決めたかっただけだよ。』 ミハルは決まって、悩むフジに向かって最上級の笑顔で 『サトコはお前を本当に愛してるよ。』 と言っていたそうだ。 だが、サトコとフジの結納のとき、ミハルはサトコをさらった。 サトコはこう言い残した。 『あたしは確かにフジを愛してる。でもそれ以上にミハルが好き。』 あまりに一瞬でフジはその時何が起きたのか分からなかった。 サトコとミハルが駆け落ちしてからフジは変わってしまう。 温厚だったフジは凶暴になり2人を憎んだ。 憎んだ結果、フジはミハル達を探し出し、殺した。 「あいつら子どもまで作ってやがってなぁ。ハハッ。」 あたしの目の前に立っている男は遠くを見つめ、そしてあたしをありったけの殺気をこめて睨んだ。 「その子供がお前だよ。美里。」 何も知らされていなかった事実。 [*前へ][次へ#] [戻る] |