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Evidence
今と昔

あたしはサスケの寝顔を見ていた。

女が見ても羨むほどの端正な顔立ち。

長い睫毛。

それは昔もそうだった。

寝顔はまだ幼さが残っている。

それでも昔とは可持ち出す空気が違うことに
昨晩あらためて実感させられた。

昨日は、もう成り行きのままに事が運んでサスケと初めて体を重ねた。

そして初めて気付くこともある。

サスケはあたしじゃない他を見つめていること。

多分それは女じゃなく、彼の野望。


その野望はいつか己を破滅させることに彼はまだ気付いていない。


ふと、サスケが目を覚ました。
サスケは数回瞬きをする。

そして眠そうな目であたしを見つめた。

「おはよう。」
あたしが言うと
「あぁ。」
とサスケが返した。

サスケは素肌のあたしの体を包み込む。

そしてまた目を閉じようとしている。

あたしは彼が二度寝しないうちに尋ねた。
「サスケはこれからどうするの?」

目の前にはサスケの首もと。
彼の顔は見えない。

サスケの息があたしの髪の毛にかかった。
「オレは、木の葉を潰す。」


やはりそうだと思った。

昔イタチに、サスケの行く先を聞いたとき、いずれそうなるだろうとイタチが言っていたから。

「サスケ、復讐なんてやめなよ。」

「…………。」

「あたしも復讐を誓って、義父を殺したけど、結局なにも残らないし、むしろ母親を失った。」

あたしは目を閉じて、母の顔を思い出す。

「復讐なんて意味がないんだよ。イタチだって、そう思ってる。」
サスケはあたしの肩をゆっくり押した。


サスケの顔が見えた。

「お前にオレの何が分かる。」
サスケの声は低く、威圧するような瞳であたしを睨む。

「分かるよ。似たような境遇じゃない。」
サスケの圧力に怯むことなくあたしは言った。


そこからは、2人睨み合いながら言い合いが始まった。

「オレとお前じゃ憎しみの重さが違う。」

「確かに違うかもしれない。でも復讐なんかしてても何も変わらないじゃない。」

「変わらないかどうかはやってみないと分からない。」




「お前も結局、木の葉の血が流れてるんだな。」


サスケは起き上がる。
そして服を着始めた。

あたしも起き上がる。

「お前になんと言われようと、オレの決意は変わらない。」


そう言い放つ彼にあたしは静かに尋ねた。

「もし…あたしが木の葉に戻ったら、サスケはあたしを殺すの?」

サスケは冷めた目であたしを見た。
「…木の葉は1人残らず皆殺しだ。」


あたしは、何も言うことが出来なかった。


昔の優しいサスケはどこにもいない。



膝を抱え、震えた。









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