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Evidence
弱さ
アジトにひきこもっていると昼も夜も分からない。

だから何時間眠っていたのか分からなかった。

目が覚めても薄暗い。

昨日の出来事は夢だったのだろうか。


いや、あれは確かに現実だった。

現実にサスケが現れたのだ。

しかもサスケはあたしに告白してきた。
でもあたしはサスケに「もうなんとも思ってない」と言ってその場から立ち去った。


今はデイダラ以外には誰も考えられない。



あたしは簡単に着替えて食事をしにリビングに向かった。


「あ…。」
思わず声が出た。
いつもあたしが座るリビングのソファーにサスケが座っていた。


サスケがあたしに気付く。

あたしは思わず目をそらしてしまった。

サスケは立ち上がってあたしの前を横切った。

その時、
「オレは諦めるつもりはない。」とあたしに囁く。


やけに自信に満ちたような声色だった。

そのままサスケはリビングを出ていった。
あたしのことを待っていてくれたのか。

サスケはあたしを諦めないと言った。

心がドキッと揺れ動く。


デイダラ以外考えられないはずなのに、サスケのたった一言で今は彼で頭がいっぱいだ。

あたしはそんな単純な女だっただろうか。





その夜、あたしはアジトを出て昔よく修行していた湖に来ていた。

デイダラとのちょっとした思い出の場所でもある。

昔はここでデイダラとよく修行していた。

尾獣狩りが始まってから呑気に修行なんか出来なかったけど。

ここはあたしの成長の過程でとても重要な場所。


だから今のこのどうしようもない状況のとき、なんとなくこの場所に頼ってみた。

相変わらず何もない殺風景な風景。
久々に外の空気を吸った。


風の心地よさが心を浄化させる。

それと共に、あたしの中は空っぽになった。

何も考えられないときに、
押し寄せてくるのは孤独という恐怖。


「………。」
ガクガクと、腕が震えた。


この感じはなんだろう。
不安で、空っぽで、寂しい。



「助けて…デイダラ……。」


愛しい人の名を呼んでも、彼は来てくれない。


あたしは完全に自分を見失ってしまったんだろう。



アジトに戻って扉を開けた。


「美里……?」
少し驚くサスケの顔。


あたしは彼の胸にもたれかかった。



結局人は、孤独という恐怖には勝てないのだろう。









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あきゅろす。
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