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Evidence
彼の決意
翌朝、わりと新しく入ったメンバーのトビに昨日のことを謝られた。

「ホントすいません!まさか真っ最中だったなんて!」

朝からそんなことを大きな声で言わないでほしい。

「ったくテメーはよぉ!普通人の部屋に入るときはノックぐらいするだろうが!」

デイダラはトビの胸ぐらを掴みにかかったのでそれを必死に止めた。

「まぁこれから一緒にやってくんだから仲良くしようよ。」
あたしはトビに手を差出し握手を求める。

デイダラは、まだムッとした顔であたし達が握手する様子を見ている。


握手しながら、トビはいつもの調子で話す。
「いや〜美里さんてホント可愛いしいい人だなぁ〜。
デイダラさんのどこがいいんすか?」

また余計な一言までつける。

そしてデイダラは一端静めた怒りをまた再発させ、思いっきりトビをぶった。

「いた〜い」と言いながらトビは逃げ出す。
それをデイダラが追い掛ける。


…なんだか暁が幼稚園のように思えてくるのだった。



それから、任務はサソリのかわりにトビになった。
トビに変わったことで増えたことと言えば喧嘩。

毎回毎回トビはデイダラにつっかかり、デイダラの堪忍袋の尾が爆発?しっぱなしだ。


それはそれで楽しかったりするのだが。
トビのバカさ加減はサソリがいない寂しさを紛らわせてくれた。


――順調に尾獣狩りが進んでいた。
でもそれと同時に暁のメンバーもだんだんと減っていくのだった。
しかもそれが木の葉の忍によるものだから驚く。
角都はナルトだ。ナルトも成長し続けているみたいだ。

あたしもいずれ木の葉かどこかの忍に殺されることになるのだろうか…。


「美里、ちょっといいか?」

お風呂上がりにデイダラに呼び止められた。
そのままデイダラの部屋まで連れていかれる。
ベッドに座らされ、あたしの隣にデイダラも座る。

「………。」
いつになく神妙そうなデイダラ。
ぼーっと真正面を見据え、何かを考えているような感じだ。

「どうしたの?」
とりあえず声をかけてみる。

デイダラは口を開いた。
「うちはサスケが大蛇丸を殺したらしいぞ…うん」

「え?」

一瞬頭が真っ白になる。

「サスケが大蛇丸を?」

「あぁ…」

あたしは驚きと嬉しさで、口元を覆う。

でもデイダラの前なので、あんまり感情を出さないように心がけた。

「大蛇丸が死んだってことは暁にとっても好都合…でしょ?」

「まぁな…。うん」

なんだか腑に落ちない顔をしているデイダラ。

「どうしたの?」

「大蛇丸は、オイラが殺すはずだったんだよ…。だから先にやられちまうっていうのは、正直許せねぇ…うん」

「でも死んだものは……」

あたしが言い掛ける刹那、デイダラは驚きの言葉を口にした。


「オイラ、うちはサスケをやる。」


それを聞いたとたん、あたしは何も言えなくなった。

「オイラの芸術家としてのプライドと、お前をオイラの物にするためだ。」

デイダラはあたしの両頬を両手で挟み込み、真剣な瞳で言うのだった。

「やだ!」
あたしは頭を激しく振り、デイダラの手を弾いた。

「そんなの絶対許さない!プライドなんてどうでもいいじゃない!!それにあたしはとっくにデイダラの物でしょ!!」


「なにを言われてもオイラの気は変わらねぇ…うん」

デイダラの瞳は確かに決意に満ちている。
でも、プライドとかあたしなんかのために戦いに行く意味が分からなかった。

しかも大蛇丸を倒すほどの実力をもつサスケに、デイダラは太刀打ちできるのだろうか。

しかもデイダラのことだから命懸けで行くに決まっている。

そんなこと、みすみす了承なんてできるはずがない。



あたしは立ち上がり、デイダラを見下ろし尋ねた。

「プライドと命とどっちが大事?」

デイダラはあたしを見上げ、答えた。
「プライドだ…うん。」





あたしはデイダラの部屋を出た。



1人自室に閉じこもって何も考えたくないくせに、デイダラのことばかり考えていた。

もうあたしはサスケがどうなるかなんてどうでもよかった。

正直デイダラが居なくなるぐらいならサスケが死んでもいい。

デイダラが実力があるのは分かっている。
しかし不安からかそれを信じきれない自分がいた。

イタチの戦いも間近で見たことがあるし、あのシャリン眼の瞳術はハンパじゃない。

あんなの見てしまったら…。


あたしは1日眠れぬ夜を過ごすのだった。





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あきゅろす。
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