[携帯モード] [URL送信]

Evidence
仲間の死
数年後、暁は尾獣狩りの真っ最中だった。

芸術組とあたしは砂の一尾を狩りに行くことになる。

デイダラは張り切っていた。
それが少し心配だった。


「美里は旦那と一緒にいな。」

そう言ってデイダラは狩りに向かった。

ちなみにあたしは尾獣狩りはあまり乗り気じゃない。
いつも心のどこかで、ナルトが心配だったからだ。

それでも常に強いものを求めるデイダラには何も言えなかった。


「一尾の人柱力って強いんでしょ?1人で大丈夫かな…」
サソリに不安をこぼす。

「信じて待ってろ。」
サソリは一言そう言った。


しかし帰ってきたデイダラは片腕がなかった。
珍しくボロボロだった。

デイダラの鳥に乗りながら説教する。
「1人で無茶しないでよ!」
バシッと頭を叩く。

「怪我人はもっと労れ!うん!」デイダラは半泣きで叫んだ。


サソリも無事たどり着き、アジトに帰る。
すぐさま集会が始まった。

あたしは暇ながらもそれを自室で待った。

今回の人柱力はあたしと同い年らしい。
しかもその年で風影だ。
それはデイダラも苦戦するはず。



――そして尾獣を引き剥がすのが終わったころ、あたしはイタチと鬼鮫との任務が入った。

「なんでいきなり?デイダラとサソリは?」
イタチに尋ねても
「あいつらはあいつらで任務が入った。お前は必要ない。」
そっけない返事が返ってくるばかりだった。

なんとなく、嫌な予感がしていた。

その予感は見事に的中しアジトに帰ったときサソリは、 死んでいた。

眠っているみたいだった。

まさかサソリが死ぬなんて…
頭が混乱し、サソリが息絶えたその場所にしばらく立ち尽くしていた。

サソリを殺したのは木の葉と砂の忍だった。

だけど別にあたしはもう、復讐はしない。

結局この世の中、だれが正義かなんて分からないのだから。

でもサソリはやっぱりあたしの中で大切な存在だった。

サソリは、何を思って死んだのだろうか。




「いや〜死ぬかと思った。」

呑気にデイダラは語る。
あたしはデイダラの部屋で彼の傷の手当てをしていた。

「……。」

「おい」
無反応なあたしに頭をこずくデイダラ。

「あ、う、うん。ごめん。」


サソリの死体が頭から離れない。
「旦那のことだろ?」

「うん。」

デイダラはあたしの頭を撫でる。
「落ち込んでる美里も可愛いなぁ。」
デイダラは励ますように言ってくれた。

「こんな暁なんかにいたら、仕方ないことなのに…。」

あたしが呟くと彼は、まぁな〜と返す。
あたしはデイダラの傷ついた手をつかんで、
「デイダラは…死なないで。」
と必死に訴えた。

するとデイダラは目を伏せ
「それは約束出来ねぇな。」
と言う。

「オイラは芸術家だ。プライドがある…どうしてもっていうときには、戦いで命を懸ける場合もあるかもしれねぇ…うん。」


「そっか…」
デイダラの性格を考えたらそれはそうだ。
分かっていても辛い。

あたしが少し涙目になっているとそっとデイダラは抱き締めてくる。
耳元で
「オイラはそう簡単に死んだりしねぇから。」
と言い、口に軽くキスをした。

そのままベッドに押し倒され、首もとにキスされる。
そして服の中からブラジャーのホックを外された。


――ガチャ。
「デイダラさーん!これからよろしくお願いしますね〜!!

いきなり部屋のドアが開いたかと思えばテンション高い声が聞こえた。

一瞬時が止まり、あたしもデイダラも、扉を開けた男も無言になった。

「あ、えっと…おじゃましましたぁ〜!!!」
あたしたちの様子をみて、空気を呼んだ男は焦った様子で扉を閉めた。

「あ〜らら」
あたしはうなり声をあげて髪の毛を耳にかける。




その夜、

「トォビィィィィィィィ!!!」
という怒りの叫び声が暁中をこだまするのであった。



[次へ#]

1/4ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!