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Evidence
2人の兄



『ねぇお兄ちゃん。どうしてお父さん、私にだけ冷たいのかな。』


『それはお前だけ血がつながってないからだよ。』


『私・・・だけ?血ってそんなに大事?』

『ああ。大事だよ。血がつながってないと家族じゃないんだ。』

『私は家族になれないの?』

『一生お前はなれないよ。』

『お兄ちゃんは血がつながってなくても私のこと家族だと思えない?』

『思えないよ。』

『・・・そっか。』



ハッと目を覚まし、起き上がる。

「大丈夫か?」

声の方に目をやるとそこには驚いた顔のサスケがいた。
ポーカーフェイスのサスケのそんな表情は初めて見た。

ふと頬に違和感を感じる。
指で触ってみたら水滴があった。

・・・泣いていたのかあたしは。 だからサスケも驚いているのだろう。

「運んでくれたの?」

黙ってサスケは頷いた。目は合わせない。

以外に優しいところもあるもんだ。人って表情や態度だけじゃ分からないものだな。
そんなことを思っているとサスケは静かに口を開く。

「お前兄貴がいるのか?」

寝言でも言ってしまっていたのだろう。
「いるよ。長期任務行っちゃってるけどね。」

「オレもいる。」


知ってるよ。

わざわざ口には出さなかった。言わなくてもサスケには伝わると思った。
なぜかはよく分からないけれど。


それからサスケはあたしが帰るときまで一緒にいてくれた。

特に話もしなかったけれど、この静かな医務室の空間が最高に居心地がよかった。

サスケも1人じゃない空間に居たかったのだろうか。


サスケはなんだか他人な気がしない。







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あきゅろす。
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