[携帯モード] [URL送信]

Evidence
嫉妬
あたしはふと考えることがある。
まだ1度しかないけど、最低な任務をやったことがある。
それは、情報収集のためにデイダラとサソリが卑猥な店に行っていた任務だ。

思い出すと頭が痛い。ニヤニヤと笑いながらデイダラは店に入っていった。
その時は特別なにも感じなかったけど。
今はそういうわけにはいかない。あんなところにしょっちゅう行っていたのだろうか。
そしてもう、行っていないんだろうか。


「ねぇデイダラ、もうあんな店行ってないよね?」

「あんな店?」

「ずっと前任務で行ったエッチな店。」

すぐさまデイダラは引きつったような顔をした。

「なに、その顔」

「いや、別に。行ってねぇよ…うん。」

明らかに目が泳いでる。

「ふーん。そっか。」
あたしはそっけなく言い放ち、その場を立ち去った。

あのデイダラの態度は明らかにおかしい。
あたしは無性にイライラした。
あんなにあたしに調子いいこと言っておきながら…。

「なぁ、美里〜」
食事のとき、あえてあたしはサソリの隣に座った。いつもはデイダラの隣だったはずが。

「………」
話かけられても答えなかった。
イラつくから。

そんなあたしに、デイダラは
「どうしたんだよ」
と言って首を傾げる。

でもあたしはシカトした。

もう、信じられない。


――シャワーを浴びて、リビングのテレビをつけた。
そのまま何気なくテレビを見ていると、何も言わずにイタチが同じソファーに座った。
そんなに距離は近くないけど。

珍しいなと思いながらテレビを見ているとボソボソとイタチが喋りだした。
「お前ら喧嘩したのか。」

疑問系ではなかった。確かに食事のときの不穏な空気は周りの人みんなが察知しただろう。

「だったら何?」
思い出すとまたイラついてしまい、イタチにも素っ気ない態度をとってしまう。

「なぜだ?」

イタチは人のことに首を突っ込んでくるやつだったっけ?

まぁいいや。彼女がいても、風俗に行く男の気持ちでも聞いてみよう。

あたしは喧嘩した経緯を全てイタチに話した。

「まぁ、確かにデイダラの女癖はよくないがな。」

あたしは目を伏せた。
男ってそういうものなのだろうか。

「イタチは…どうなの?」

「オレだって風俗の一つや二つ行く。」

ひょうひょうと言ってのけるイタチに唖然とした。

「男はそういうものだ。」

「………。」
結局そういうものか。
でもそしたらあたしは誰も信じられなくなる。

「だが、デイダラももう行ってないだろう。そんな話は聞かないしな。」

「それはイタチとデイダラが仲悪いからじゃないの?」

フッとイタチは笑って、
「でもお前はデイダラの口から聞いたのか?
美里と付き合ってからも、そういう店に行っていると。」

そう言った後、彼は腰を上げ去っていった。


確かにデイダラからはっきりと「行った」とは聞いていない。
でもあんな分かりやすい態度とられたら、やっぱり疑ってしまう。
どうすればいいか分からないまま、あたしは自室に戻って眠りについた。





――次の日の朝、洗面所に行くとデイダラと遭遇した。

「おはよ…うん。」

デイダラは気まずそうに挨拶してくる。ちなみに気まずい空気を作ったのはあたしだ。
昨日からまともに話していない。
理由なくシカトを続けるのもよくないと思い、デイダラに疑問をぶつけた。

「ねぇ、デイダラはあたしと付き合ってからもそういうお店に行ったことあるの?」

デイダラは今度はゆっくり首を横に振った。

「じゃあなんで昨日はあんなに焦ってたの?」

「あれは…なんか分かんねぇけど急にそんなこと聞かれたら焦るだろ!!うん!」

疑いの視線を向ければデイダラはぷるぷると首を振る。

「オイラもうお前だけだから!信じてくれ!!」

あんまり必死に頭を下げるものだから、あたしは少しフッと笑ってしまった。

それを聞き、顔を上げるデイダラ。
「もう仲直りしていいのか?うん?」

「あたしもシカトしちゃって、ごめん」

謝れば、デイダラは極上の笑顔を向ける。


そのまま、デイダラの髪をチャームポイントの丁髷に結ってあげた。




――こんなささいな嫉妬もデイダラを好きだからこそ。




[次へ#]

1/6ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!