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Evidence
親子

サソリが言っていたのは多分この森。

もし母親が生きていたら、多分これぐらいの年齢。

この人は、驚くほどよく当てはまる。



あたしは緊張しながら尋ねた。
「名前を・・・教えてください。」

彼女は、微笑んで
「若葉サトコ。」
と言った。


サトコ・・・

すべてのパーツがカチッと当てはまった気がした。

あたしの実の母親は、生きていた。


すぐにでも、あたしが美里だと言おうとした。

「あの・・・」

ビュー!
だけどいきなり突風が吹いて、あたしの言葉を消しさった。

嵐は過ぎ去ったはずじゃなかったのだろうか。

突風のせいで髪の毛が顔に張り付いて視界が悪い。


「やぁサトコ・・・久しぶりだな。」
髪の毛を必死に掻き分けていると、ふと男の声がした。
しかもどこか聞き覚えのある声。

嫌な予感がして、すぐさま顔を上げれば、あたしの宿敵が立っていた。



まさかこんなところで会うことになるとは・・・。

「お前がまさか生きてるなんてなぁ・・・」
義父のフジはあたしには気づいていないようで、サトコの前に仁王立ちしていた。

そして怒りに満ち溢れた顔で、あたしの実の母親を見下している。

隣にいる母親は目の色が変わり、明らかに焦りを感じているようだった。

フジはしゃがみこんで、サトコの綺麗な栗色の髪をすくう。
なおかつ気味悪く笑いながら言葉を発する。
「オレの術で死んだかと思ったんだがなぁ・・・。
噂でお前が生きていると聞いたとき、憎しみと喜びが一色単に沸き起こってきたよ。」

サトコは唇を噛みしめていた。
フジがサトコの髪を撫でる仕草は、想い合っているものたちがする、それとは違う。

フジはあたしに嫌みをいうとき、いつも今のような顔をしていた。

相手を卑下するあの表情。

虫酸が走る。


我慢出来ずに立ち上がって、フジを蹴り飛ばした。

ドガッ!

フジはもちろん体勢を崩した。
そしてあたしの顔を見て、彼は目を丸くする。


あたしはフジを見下し
「あたしのこと覚えてる?」
と尋ねた。

彼は最初は驚いた表情をしていたものの、程なくして状況が分かったのか
「はっ・・・ハハハハハっ!」
高らかに笑った。

あたしを指差し、盛大に笑いながら言う。
「まさかお前、実の母親に会いに来たのか!?」

あたしは唇を噛み締めた。

なんだか気まずくなり、母親の顔が見れない。

「知ってたわよ。」
サトコは冷静沈着に言葉を発した。

思わず母親の顔を見てしまう。

すると彼女は真剣に告げた。
「この娘は、いずれあたしのところへ来てくれると思ってた。」

彼女はあたしの目をしっかり見て言ってくれた。

何もかも初めから、彼女は分かっていたのかもしれない。

「おいおい、そんな感動の再会してる場合か?」
怪訝な顔をするフジ。

「まぁでもオレとっちゃ好都合だがな。」
フジは立ち上がり、自らのお尻を叩く。

そしてニヤリと笑った。
「お前ら2人ともまとめて殺っちまえるからな・・・」

そう言い残しフジはいきなり姿を消した。

どこだ?

あたしはキョロキョロと辺りを見回した。

「上よ上!」
サトコが叫んであたしを抱えて跳んだ。

木の中に姿を隠し、息を潜める親子。
「あなた大丈夫なの?そんなんでよく暁やってこれたわね。」
サトコにデコピンされる。
あたしは苦笑いをした。

しかし彼女の言葉に疑問な点がある。
あたしが暁に居るのをなんで知っているんだろう。

「まずはよーく相手の気配を探るのよ。」

言われた通り、目を瞑り、フジの気配を探った。

奴はこっちを見ている。
そんな危険を察知し、あたしは印を組んで、フジの足を草で縛った。

サトコはそのあたしの様子を見て、静かに拍手をする。
「お見事。さすがあたしの娘。」
そう言って彼女はウインクする。

そして彼女も印を組んで、
「麗花壇場」
術を発動させた。

その術は花で相手を包む檻を作り出られなくする術のようだ。
フジはいとも簡単に包まれていた。

「尚且つこれはねぇ、チャクラを吸い取るの。」
サトコは、意地悪そうに笑った。

すごい術だ。きっとチャクラを大量に消費する。
やはりサトコは少し息を荒げていた。

だがこんなに上手いこと倒せるほど、甘くなかった。

いきなり目の前にフッとフジが現れたのだ。
「まずはお前だ。」

あたしはフジに捕まえられた。
木の上からあたしは放り投げられた。
だが寸でのとこでなんとか着地する。

「ちょっとなんなのよアンタは!!」
上からサトコの悲鳴が聞こえた。

フジに捕まったのかと思えばフジはすでに地面に立っている。
サトコはもう1人現れた男に拘束されていた。

「春日、サトコを拘束しとけ。」
サトコと男が居る木の上を見ながらフジは言った。

春日・・・
それは兄の名前だった。






「春日を連れてきてよかったよ。」
フジはあたしを見ながらニヤリと笑う。

まさか兄も居るとは・・・

あたしの額には冷や汗が流れる。
このタイミングで兄もいるとなると、そろそろ自分の身が本格的に危うい。

が、これはチャンスでもある。

同時に義父も兄も殺れるなんてまたとない機会だ。

あたしは義父を睨みつけて、戦闘態勢に入る。

「フッオレとやる気なんだな?」
気味悪く笑うフジ。
あたかもお前はオレにかなうはずがない、といった表情だった。

あたしは精神を集中させ、フジに向かっていった。


日々の修行の成果もあり、あたしはフジに優勢だった。

「チッ!」
フジは舌打ちをする。
あたしがこんなに成長しているとは思わなかったんだろう。
彼は確かに焦っていた。


そのフジの気持ちの余裕のなさに隙が生まれる。

あたしはそれを見逃さずに、フジの首もとにクナイを突きつけた。

フジはギリギリと歯を食いしばる。
あたしに追い詰められてプライドはボロボロなんだろう。

「お父さん。さよなら。」
フジの首からはうっすら血が流れていた。

しかしフジはいきなりニヤリと笑う。
その瞬間あたしの頭に、クナイが突きつけられていた。

「春日はよくできた息子だ。」フジはあたしが持っているクナイをいとも簡単に払いのけた。
「ハハハッ!惜しかったなぁ美里!」
フジは高らかに笑って見せた。さっきのあの悔しい表情とはまるで違う素振りだ。

チラリと木の上の方に目をやれば、サトコはぐったりと木の枝にもたれ掛かっていた。

きっと春日に幻術でもかけられたに違いない。


あたしは逃げ場をなくした。

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