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Evidence
自信過剰
イタチの部屋を出た。
早く寝ようと思ったのだがそうもいかず、そこらへんをぶらついていたデイダラに捕まえられた。

なぜかそのままズルズルとあたしはデイダラの部屋で
芸術鑑賞会をすることになる。
「まぁここじゃ爆発させれねーからな。残念だけど。」

そんなしょっちゅう爆発鑑賞会なんてしたくはないけど。
戦いのときに散々見せられているので充分だ。


でも、デイダラの部屋には小さい粘土細工がたくさんあってなかなか可愛い。

ベッドに腰掛けしばらくそれらを眺めていた。
するとデイダラは口を開く。
「お前、イタチの部屋で何してたんだ?うん」

いきなり質問されても何から話せばいいのか・・・
とりあえず無難な返答。
「別にちょっと用事があっただけ。」

そう言うとデイダラは何かを考えるように下を向いていた。

なんだか複雑な表情で何を考えているのか分からない。

青い瞳にサラサラの金髪。
あたしには持っていないものを持っている彼。

「そんな見んなよ。オイラに惚れたか?・・・うん。」

しまった。彼を観察していたのがバレてしまった。

ほんのり顔を赤らめている彼。
遊び人のわりにウブなのだろうか。

「ぷ。」
思わず笑ってしまうと彼は真っ赤な顔で怒り出す。

「お前バカにしてんのか!?うん!」

あたしは笑いを沈めて頭を振った。

「デイダラが面白いから。」

「そこは真顔で言うとこじゃねぇ。」

デイダラの突っ込みに笑みがこぼれる。
デイダラも一緒になって笑っていた。


デイダラになら話してみようかな。
義父のことやサスケのことを。

一度、深呼吸して話し始める。
「イタチの弟はあたしの初恋の人なんだ。」

「・・・。」

「あたしは義父に逆恨みされてて殺されかけて、逃げ込んだのがイタチの弟の家だった。」

デイダラはあたしを見つめ、黙って聞いている。真剣な表情で。

「そこで1週間ほど生活を共にして、彼に惹かれた。ずっと一緒に居たいと思った。けど・・・」


最後に抱きしめたとき、サスケもあたしも震えていた。



「あたしは、どうしても義父を殺したいの。それだけの力が欲しい。」


「だから里抜けしたのか。」
デイダラの言葉にあたしは頷く。

「今のままじゃきっと木の葉に居たって殺されるだけだから。」

デイダラはあたしを元気づけるように言ってくれた。
「お前はすぐ強くなれるぞ、うん。」

なんの根拠があるのか知らないけど。

デイダラはあたしの肩をポンと叩いた。

「イタチの弟か・・・。」
彼は独り言のようにつぶやく。

「オイラ、昔からイタチが大嫌いだ。」

「え?」

「今、イタチの弟も大嫌いになった。」

「・・・?」



「お前が好きかもしんねーから、うん。」










そう呟いてうつむいた彼。

一瞬空気が止まった。


これは告白?

からかっているのか、本気なのか分からない。

だってあれだけ興味が無いとかいろいろ言われたのだ。

きっとデイダラは本気じゃない。


「はいはい。」

あたしはため息をついた。
デイダラに目をやる。

彼は唖然とした表情でこちらを見ていた。

そしてあたしは
「冗談なのは分かってる。そんなんでいちいち反応しないよ。」
と、そっけなく呟いた。


彼はあたしがそう言った途端、悲しげな表情を浮かべる。

「今、気づいたんだよ・・・うん。」

そしてデイダラはあたしをしっかり見据えて言う。
「オイラ、お前が好きだ。だからイタチの弟にかなり嫉妬した、うん。」



「本気で言ってるの?」

あたしの問いには答えずニヤリと笑うデイダラ。
「オイラがそいつを忘れさせてやるよ。」




デイダラが立ち上がってあたしが座っているベッドの端に腰掛ける。

早く部屋を出て行きたかった。

だけど動けないのはデイダラが突き刺すようにあたしを見るからだ。

距離が近い分、迫力が増す。


ついにデイダラの目を見れなくなって目をそらした。


「フッ。お前、いつかオイラのもんになるぜ・・・うん。」

いかにも自信満々といった風に言ってのけるデイダラ。

「はぁ!?」

それに腹が立って勢いよくベッドから立ち上がり、彼の部屋から出て行った。

バタンと勢いよく自室のドアを閉める。

「なんなの・・・。」

思わず独り言を言いながらドアにもたれかかる。


ドキドキと心臓の音がうるさかった。

それはきっと自信たっぷりのデイダラがムカつくからだと思う。

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あきゅろす。
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