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Evidence
新たな力

「よお!お前今日は早いんだな!うん!」

朝からテンションが高いデイダラ。

「オイラの仕事が1つ減って助かった〜」
にこにこと笑いながら話す。
昨日、あんなことがあったとはとても思えない彼の素振り。

多少気まずいのはあたしだけのようだ。

「今日はなんの任務だい?旦那!」

「あー今日は・・・」


何事もなかったかのように、普通にサソリと会話してる。

昨日のことは夢だったんだろうかと思ってしまうぐらい、デイダラは普段と何ら変わらない態度だった。

「おい・・・テメェ聞いてんのか!?」

「!?」
急に怒鳴るサソリにビクッと体が揺れた。


「えと・・・聞いてませんでした・・・」
もじもじと答えるとサソリは呆れた声で、
「おい、お前が説明しろ。2回も同じこと言いたくねぇ」
とデイダラに説明を促す。

するとデイダラがこっちを向く。不覚にも少しドキッとしてしまう。
「今日は今までより危険な任務になるから気を張っとけよ!うん!」

危険な任務か・・・
死んだりしないだろうか。


「そんな不安そうな顔すんなよ!オイラが守ってやるから安心しな」
そう言ってデイダラはポンと頭を撫でた。

「う・・・うん。」


なぜだか彼の言葉で少し気分が軽くなった。

「フッ」
サソリがその一連の流れを見ていたのか、鼻で笑う。
「お前らデキてんのか?」

「デキてない!」
サソリがからかうのであたしは猛烈に批判した。

「そんなムキになんなよ。冗談だろ?」

そう言われた瞬間、サソリを心底殴ってやりたいと思った。(殴ってもムダだけど)

デイダラに視線をやると、それに気づき彼もあたしに視線を合わせた。

そしてデイダラは急にあたしの耳元で囁く。

「ま、どうせそのうち旦那が言ったことが現実になるかもな。」

こいつはどこからそんな自信が沸いてくるんだか。

あたしはサスケが好きなのに。

復讐が終わったらサスケの元に行こう。

何年先になるかは分からないけど多分彼はあの家に居ると思うから。



ちなみに今日の任務は小さな里の長を暗殺すること。

小さな里だけど、優秀な忍が多いらしい。

いつもは余裕な芸術コンビも今日は少しピリピリとした空気を漂わせていた。

それにつられ、あたしも気を引き締める。



程なくして目的地に到着し、宿で入念なミーティングをした。
決行は夜中。

失敗はもちろん許されない。


ひとまず夜中まで時間があるので個々で仮眠をとる。

でもあたしは気持ちが高ぶって寝れなかった。


夜中―――

「行くぞ。」
サソリの一声で皆持ち場につく。

あたしは里長が住んでいるとされる家のそばの木に身を潜めた。

すると急に「ドカーン!」と爆音が響き渡る。
デイダラの十八番で戦いの幕が下ろされた。


家の一部が粉々になっている。
そこからデイダラとサソリが侵入し、あたしも紛れて侵入し彼らの援護だ。

だが侵入しようとしたちょうどその時、あたしがいる木から見える窓に手配書に載っていた里長の顔が映った。

やはり里長は爆発に驚いているようだ。
部屋の中をウロウロしている。
「頼りない里長だなぁ。」
思わず独り言を言ってしまった。

その音を聞きつけ、きっと忍も大勢駆けつける。
そうなると厄介だから今殺ってしまうべきなんじゃないだろうか。


でもこんな小さな里でも里長は里長だ。あたしが適う相手だろうか。
しかもあたしの仕事はデイダラとサソリの援護であって里長の抹殺ではない。

――だが彼らは激しく戦っているようで、まだ来れない。
あたしが1番適任なのだ。


自問自答を繰り返し、ふと思ったのはもしデイダラやサソリだったらどうするか。

きっとウジウジ考えずにやるべき事をやるはずだ。

多分不安なんてこれっぽっちも感じず自分達の能力に、絶対の自信を持っている。

あたしは勢いで木から跳んで里長がいる部屋の窓を蹴破った。
そのときは何も考えずにただ突っ込んで行った。


「何者だ!」
あたしを見て驚いた顔で叫ぶ。

あたしはクナイを持ち里長に飛びかかった。

「!?」
しかし里長を掴もうとする寸前であたしは誰かに横から蹴りを入れられた。

横腹に痛みが走り、壁に激突する。

だけど倒れてもすぐ立ち上がれた。それほどダメージはない。

「お前らは何がしたいんだ!」
里長をかばうように立ちはだかる男。
里長はその隙にどこかへ逃げてしまった。

せっかくのチャンスだったのに・・・。


それにしても先ほどあたしに蹴り入れた男、なかなかの手足れみたいだ。

なんとなくだけど日々の修業で、あたしはチャクラの質というものが分かってきた。

今分かるのはあたしと前に居る男のチャクラ量の違い。

多分・・・あたしの方が少し上を行ってる。


でも油断は出来ない。明らかに実戦経験の差で大きな違いがある。
それにチャクラなんてコントロールする力がなければ多少相手より
多くても意味はない。
それが敵はあたしより上手い。

「お前はまだ子供だろ?見逃してやるから早く立ち去れ!」
男にそう言われたがあたしにはそんな気は全くない。

むしろ武者震いというやつで体が震えている。

そして目の前の男を睨みつけた。

「おい、後悔することになるぞ?」
あたしの気迫を察知し、男もその気になったようで、ホルターから手裏剣を出した。

――シュッ
男は手裏剣を投げつけ、攻撃を仕掛ける。

――カキンッ
あたしはクナイでそれを全て弾いた。

そこからは必死で男に立ち向かった。

だけど徐々に追い込まれていった。
やはり相手は戦いの組み立て方が上手い。



戦いの途中、あたしは少し気を抜いてしまった。
「隙ありっ!」
あっという間に敵は馬乗りであたしの喉元にクナイを当てている。

「なかなかやるなお前。」
馬乗りになっている男はあたしを見下ろしながら呟く。

「・・・・・」

クナイの冷たい刃先が首に当たっている。

「俺だってお前みたいな未来ある若者を殺したくはないんだがな。」

男はとても悲しそうな顔をしていた。
本来は心優しき青年なんだろう。

それにしても短い生涯だった。まぁでも忍らしい最期か?



でも復讐は終わってない。会いたい人にも会えてない。
あたしは・・・やるべきことを何一つしていない・・・・

「悪いな。」
男はクナイを振り下ろす。


やだ!やっぱり死にたくない!!

ぎゅっと目を瞑って拳を握りしめた。

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