[携帯モード] [URL送信]

Evidence
会いたい

イタチの部屋に連れて来られ、2人がやっと座れる程度のソファーに座らされた。

イタチは腕を組み、あたしを見下ろす。

「お前この前オレを見てサスケと言ったな・・・」

そんなこと言ったような言ってないような。
なにせあの時は情緒不安定で余裕がなかったからはっきり覚えていない。

「お前はサスケと知り合いなのか?」

こいつサスケの知り合いなのだろうか。
あたしは素直に頷く。


「・・・そうか。」

イタチの表情はやはり暁の一員なだけあって冷酷だ。

だけど、不思議と声は穏やかな気がする。

あまりにも彼と似すぎているイタチの顔を見ていたその時、ふと思い出した。


『お前兄貴がいるのか?』

『オレもいる』

あれは医務室まであたしがサスケに運ばれたとき。

あたしはこんな簡単なことに気づくのに、どれだけ時間をかけたんだ。

サスケの野望はこの目の前の男を殺すことだ。


「うちは・・・イタチ・・・」

ポツリと呟けば、それに反応し彼は首を傾げる。

「なんだ?」

あたしはこいつと仲間になっている時点でサスケを裏切っているのか?


サスケに顔向けできない。

なんだかいきなりパニックになって口から出てきた言葉。
「サスケは・・・あたしの大切な人だよ。」

顔をあげてイタチを見た。
きっと冷たい目をしているんだと思った。
よほど冷酷なやつじゃなければ自分の肉親なんて殺せないんじゃないんだろうか。

「そうか。」

だけどそう言ったイタチは、どこかホッとしたような表情で、とても一族皆殺しをした重罪人には見えない。

そんなバカな。

しかしもしかしたら何か理由があるのではないだろうか。

あたしは本当に憎んだ顔を何度も見てきた。
だからイタチの表情さえ見れば分かる。

「サスケは・・・イタチの弟には世話になったんだ・・・。」

「そうか。」


その後もあたしはイタチの部屋でサスケのことを話していた。
ひたすら一方的に。

イタチはサスケを憎んでいない。

理由はそう簡単には話さないだろう。
だけどサスケに似ているイタチと同じ空間に居るのは居心地がよかった。


サスケに会いたい・・・。
いつ会えるか分からないからこそ思いがあふれてくるのだろうか。

[*前へ][次へ#]

5/8ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!