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Evidence
金色青色
あの後、デイダラは何も聞かないでアジトまでの道のりを一緒に歩いた。

もう、鬱陶しいだなんて思わない。
今は暁のメンバーなんだ。
早くここを自分の居場所にしなければ。
もう甘えるのはやめよう。


「まだ寝てんのかよ!起きろ!遅刻すんぞ!うん!」

ドアをガンガン叩く音がする。
今日も寝たのは明け方だ。
起きれるわけがない。

「喝!」

ドッカーン!!

いきなり爆音と一緒に爆風があたしの部屋を舞う。
さすがに目を開けたら、そこにあるはずのドアがなかった。

つかつかと部屋に入って来てデイダラはあたしの手をつかむ。

強引に起こされて、あたしを怒鳴った。
「お前が遅刻するとオイラが怒られるってゆってんだろうが!うん!」

しぱしぱする目を開かせ、とりあえず素直に謝っておく。
「ごめんなさい。」

デイダラは目を丸くし、頭を掻いた。
どうやら、あたしが素直に謝ったので拍子抜けしているようだ。

あたしはベッドから出て立ち上がる。

「さっさと着替えな・・・うん。」
と言って彼は出て行こうとするが肝心な事に気づいていない。

「ドア壊れてるんだけど。」
デイダラの背後であたしは言った。

これで着替えしろと言うのか。
いくら起きないからって壊すことないのに。
彼は正常な判断力を持っているのだろうか。

「どうするの?」
何も話さず、じっとしている彼に向かって再度話しかけた。

「あー・・・えーと・・・」

声を出したかと思えば、明らかに戸惑っているし。

更には開き直った言動まで繰り出す。
「ま・・・まぁ開いてた方が風通しはよくなるぞ!うん・・・」

あたしはこの目の前にいる金髪の男に心底呆れ果てる。
「これじゃあ丸見えだよ。」
だからもう、怒らなかった。


「オイラは美里の着替え見てもなんとも思わねーから気にすんな!」
肩に手を置かれて説得されるかのように言われる。

そういうことじゃなくて・・・

すると、部屋にサソリがひょこっと現れた。
「ククッそれはどうだろうなぁ。」

「だ・・・旦那。」

「朝から騒がしくしやがって・・。」

「わりぃな旦那・・・うん」

「お前、まんざらでもないんじゃねぇか?ククッ。」

「は?どういう意味だよ、うん」

「ククッ。」

サソリは含み笑いを残し、あたしの部屋の前から立ち去った。

「たく、なんなんだよ・・・」

デイダラはあたしに向き直り、苦笑いを浮かべて言った。
「今から服持ってオイラの部屋来いよ。そこで着替えな・・・うん。」

デイダラの提案はいい案だ。
だけどそれは、低血圧のあたしは非常に面倒なこと。
「いいよ。ここで着替える。」

あたしはタンスから服を出し始める。
デイダラはそんなあたしに、
「そ、そんなんよくねぇよ!うん!」
と言う。

振り返って、デイダラの目をまじまじと見て言った。
「なんで?」

青い瞳はあたしの言葉に動揺している。
「旦那とか他のメンバーに見られてもいいのかよ!?」

「別にいいけど・・・。」

「よくねぇんだよ!オイラの部屋で大人しく着替えろ!」

「でもさっきは、気にしないとか自分で言ってたじゃない。」

「時間が無いと思ったんだよ!よく考えればまだ時間はある。」

デイダラは必死に、ここで着替えようとするあたしを止める。それが何故なのか分からない。
少しだけ怒りを交えた声音で言った。
「デイダラがあたしの着替え見たって何とも思わないなら、他の人だって何とも思わないよ。」

言った途端、デイダラは少しうつむいてしまった。

なんだかあたしはデイダラの優しさに素直に甘えられない。
それを悪く思い、あたしも反省し視線を落とす。

彼は短いため息をつき、真剣にあたしの顔を見つめた。

デイダラの視線に気づき再び顔を上げる。するとデイダラは、はっきりとした口調で言った。
「オイラはお前の着替えを他のやつに見られるのが嫌だ、うん。」

あまりに真剣に言うのであたしは、
「ぷっ。」
と吹き出してしまった。

「何笑ってんだよ。」
デイダラは少し恥ずかしそうに言う。


「なんか告白されてるみたいだったから。」
デイダラをからかえば、
「はぁ!?」
と驚く彼の声。


デイダラは、「はぁ〜」とため息をついて、あたしの手を引く。
そして彼の部屋に連れて来られて、着がえするように促された。

デイダラは気を使って部屋を出るとき
「オイラはガキには興味ないから心配すんな・・・うん。」
と言い残した。


彼はあたしをここに連れてきた責任があるから、何かと心配してくれている。

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