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Evidence
消えない思い

「起きろー!美里ー!」

昨日も夜遅くまで修行していたから、正直眠い。

寝たい。

「美里〜おっきろ〜!」

ウトウトと目を開けると、デイダラが目の前にいた。

「あ、起きた」

しかし、またあたしは目を閉じる。
眠い。

「おい目ぇ閉じんなって!」

つんつんと、頬に指をさしてくるデイダラ。


そんなこんなで、強引にデイダラに起こされた。


「今日もさわやかな朝がやってきたぞ!」

全然爽やかじゃない。
まだ頭が覚醒していない。


眠い目をこすりながら、
「今日は休みなんじゃ・・・」
と尋ねる。


「お前飛んでみたいと思わねーか?!うん!」

両肩をつかまれ、ぶんぶん揺さぶられた。

「あ・・・うん」
結局そう答えたけど、半ば強制的だった。

「さてとっ!早く着替えて着替えて!」

デイダラに急かされ、仕方なく準備を始めた。

急に、こんなハイテンションで一体どうしたんだろう。



「よしっ!準備できたな!行くぞっ!うん」

デイダラに手を引っ張られて外に出た。


「見ろ!オイラの芸術を!」

大きい作り物の鳥がいた。

おっきいな〜
と思っていると、いきなりデイダラに抱え上げられる。

「え!?ちょっと!!」

どうせなら、お姫様抱っこでもしてくれればいいのに肩に抱えられた。

デイダラが意外に力があることに驚いていると、ひょいとジャンプし、鳥に乗る。

そして、あたしは座らされた。
デイダラが前に乗り、あたしの方を向き、
「よしっ!出発だ!オイラに捕まってな!うん」
と言うと鳥が羽ばたいた。

いきなり、ぐらっと体勢が傾いたので必死にデイダラに捕まる。

もうすでに、地上30メートルといったところか。

落ちたら即死だなこれ・・・
そんなことを考えていると、デイダラを掴む手にも力がはいる。

「そんなビビんなって!綺麗だろ?うん」

確かに・・・初めて見る景色だ。
次生まれ変わるなら鳥がいい。
すると、小鳥があたし達が乗る粘土の鳥に寄ってきた。
仲間だと思ってるのかな・・・

手を伸ばしてみたら、見事にあたしの腕に止まってくれた。

ピヨピヨと、小鳥は歌っている。
それが可愛くて、顔も緩む。

するとデイダラが振り返って、「お前、鳥使いにでもなれそうだな!うん」
笑って言った。

「悪くないかもね。」

ははは、とお互い笑い声がこぼれた。

「お前は、笑ってた方がいいよ・・・うん。」

腕を組み、うんうんと、デイダラは首を振る。

少し、恥ずかしい。
話しを遮るようにあたしはデイダラに質問する。
「なんで、デイダラはあたしを連れて来たの?」

「オイラと旦那が、あえて美里にあの敵を殺すようにけしかけたからな。」

「・・・。」

「まだ早かったかもって後悔した。だからちょっとした詫びだ、うん」

あたしは否定したくてブンブン頭を振った。
「あれでよかったんだよ。」

「でもあんなに落ち込んでたじゃねーか。急に部屋に閉じこもるし・・・」

あれは急にサスケのこと思い出して、寂しかったせいでもあるけど・・・。
デイダラはそんなに心配してくれてたのか。

「もう平気だよ。ありがとう」
デイダラはフッと笑ってまた前を向いた。

デイダラみたいなお兄ちゃんだったらよかったのに。
現実は、いつでもあたしに嫌みを言う兄しかいなかった。
きっとあたしは、兄のストレス発散の道具にしかすぎなかったのだろう。

義父を殺すとなると、兄は黙っちゃいない。
兄も始末しなくては。
今まで、兄のあたしへの扱いは散々だったんだ。
ちょうどいいのか・・・。



日が暮れる前にアジトに帰った。
デイダラは、あたしの修行に少し付き合ってくれた。

これから弱音は吐かない。
強くなるためには、人だって殺す。

きっとサスケだって頑張ってるはず。
そう思ったら頑張らないわけにはいかないと思った。

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