[携帯モード] [URL送信]

Evidence
.



気づいたら、寝てしまっていた。
するとベッドの脇に、金色が見えた。

「デイダラ?」

彼はベッドに顔を伏せ、動かない。
寝ているようだった。

でもなぜ?

しばらくデイダラの丁髷を触る。デイダラの髪、サラサラだなぁ・・・

いきなりビクッとデイダラの体は反応し、彼はむくりと起き上がった。

「あれ?オイラ・・・。」
デイダラはまだ寝起きで覚醒しきってないようだ。

そして彼は、目をこすり、
「わりぃ、寝ちまった・・・うん。」
と言う。

「てゆうか、なんでここに・・・?」

デイダラは髪をかきあげ、丁髷をほどく。




「昨日大丈夫だったか?」
彼は心配そうな面もちで尋ねた。

なんのことか分からないので、答えようがない。

「いや、昨日敵殺してから、様子がおかしかったから。うん。」

あぁ・・・そう言えば昨日、あたしは。

「初めてだったから動揺すんのも分かるよ。でもこれが続くんだこの先。」

あたしはデイダラの目を見ることが出来ない。

「いちいち落ち込んでたらやってらんねーぞ、うん。」
デイダラはあたしの頭に手をのせる。

「忍になった宿命なんだ。」
デイダラは優しく諭した。

「でも、まだあの人を殺す感触とか、血の匂いが頭にこびりついてる・・・。」

あたしはベッドの上でうずくまり、流れ出る涙を隠した。

「じきに忘れる・・・うん。」
そう言われて、デイダラに優しく抱きしめられた。


忘れない間に、また人を殺して新たな感触が出来る。
それが消えない間、また人を殺して新たな感触ができる。
どんどん・・・積み重なれば、麻痺して何も感じなくなるのかな。

強くなるってこういうこと?


お風呂に入り、キッチンに行った。
あたし用の食事があって、それを温めた。

チン。温め終わった合図の音がなる。
テーブルに座り、静かに食べ始める。

そういえば、昨日、あたしがサスケと間違えた人、名前なんて言うんだろう。


「どうですか?おいしいですか?」
ガチャン!急に後ろから話しかけられて、フォークを落としてしまった。

「あらあら。急に話しかけてすいませんでしたね。」

鮫顔の人はフォークをサッと拾い、水でゆすいでくれた。

「あ・・・ありがとう。」

そう言うと、フォークを拭き渡しながら
「ちなみに鬼鮫と言います。」と笑顔で言った。



黙々と食べるあたしに、鬼鮫は暁のことを少し話してくれた。
「そう言えば、昨日の無愛想なあの人の名前は?」

「あぁ、イタチさんですか。彼は木の葉出身ですからね、故郷の話でもしたらどうですか?」

「う・・・うん。」

イタチっていうんだ。
イタチ・・・?ふと、どこかで聞き覚えがあるような気がした。
でも、気のせいだろう。


また会ったらサスケを思い出しそうだから、あまり会いたくなかった。

もう引き返せないとこまで、あたしは暁に足を踏み入れているのだから。

[*前へ]

7/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!