Evidence . それからは一瞬で、デイダラは敵1人を簡単に倒した。 「美里!これが芸術だ!芸術はいっしゅんの・・・。」 戦い中にも関わらずデイダラはお喋りを止めない。 でもあたしと歳も変わらないのに、デイダラは凄い・・・ そんなことを考え、つい相手がクナイを投げて来たことに気づく判断が遅れた。 「・・・!」 当たる!そう思った瞬間、カキーンとクナイが弾かれた。 「ぼけっとしてんじゃねぇぞ小娘!死にてぇのか?」 いつの間にかヒルコに入っているサソリ。 とりあえずサソリのお陰で助かった。 彼はいとも簡単に敵を追いつめていた。 デイダラの戦いにも、サソリの戦いにも見入ってしまう。 あまりにもレベルが違いすぎて、少し、怖くなった。 「おい、どうやらお前は弱いみたいだな。」 「!?」 八ッと気付いたときには敵はあたしの背後にいて、クナイを突きつけられていた。 「美里!!」 デイダラが叫ぶ。見たところ、彼の戦いはすでに決着がついていた。 「てめぇは本当に使えないやつだ。」 サソリは呆れた声を出す。彼もデイダラ同様、すでに戦い終わっていた。 「お前ら!一歩でも近づいたらコイツが死ぬぞ!」 背後の敵が叫ぶ。少し声が裏返っていることから、敵も動揺しているのが伺える。 デイダラとサソリは黙ってこっちを見ていた。 一歩も動かず、あたしをただ、見ていた。 彼らはあたしを試しているんだ。 コイツをあたし1人で始末できるかどうか。 「あたしが死んだところで、あの人たちになんのデメリットもない。」 「・・・は?」 一瞬であたしは敵の喉元をクナイで刺した。 「グ・・・う・・・あ・・・。」 「あたしはここで死ねない。彼等に見捨てられるわけにもいかない。」 あたしの手には返り血がついていた。 その手でその辺にあった、白い可愛いらしい花を摘み取って、今にも死体になりそうな敵の体にのせた。 せめてもの供養のために。 「テメー虫も殺さないような顔して、よくやったな。」 帰り道、サソリとデイダラはあたしを褒めてくれた。 手を洗ったのに、まだ血がついてる感じがする。 「それにしても、やっぱお前はスピードがあるよ!うん!」 だってオレお前の攻撃見えなかったぜ?うん。 そんなデイダラの言葉も、耳には入らない。 あたしは、殺した。 それは紛れもない事実として残る。 アジトにつくと、そこには知らない男2人が居た。 「おー、鬼鮫の旦那とイタチじゃねぇか!今帰ったのか!?うん。」 サソリはスタスタと自室に入っていった。 そしてあたしも行こうとした瞬間、デイダラに強引に手を引っ張られた。 「コイツが美里だ!」 「あぁ、この子がデイダラさんが拾った子ですね。確か、出身は木の葉じゃなかったですかね?イタチさん。」 鮫みたいな顔の人は、隣の黒髪の人に話しかけた。 「オレはそんな話は知らん。」興味もなさそうに答えるその人。 しかし、チラッとこっちを見て彼と目が合ったその瞬間。 「サ・・・ス・・ケ?」 息が止まるかと思った。 あたしの言葉にその人は、眉をひそめた。 気づいたら、デイダラの手を振り払って自室に飛び込んでいた。 ベッドにダイブし、枕に顔をうずめる。 今日はおかしい。 サスケがここにいるはずないのに。 ただ似てただけなのに。 すごく・・・サスケに会いたくなってしまった。 サスケに話したい。今日あった出来事を。 そしたらなんて言うかな。 意味もなく人を殺しただなんて言ったら・・・軽蔑されるだろうか。 いつの間にか枕が涙に濡れていた。 まだ手に、血のなま暖かさが残っている気がした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |