[携帯モード] [URL送信]

Evidence
.


「美里!早く起きろ!旦那に叱られちまうぞ!うん!!」

「う・・・うん。」
でも眠い。
どうも朝は苦手だ。



眠い目をこすりながら、のそのそと起き上がり顔を洗った。

デイダラは丁髷を結ながら尋ねる。
「オイラ美里起こすのが日課になりそうな気がするのは気のせいか?うん。」

「気のせいだと思う。」
あたしは顔を拭きながら答えた。

デイダラ呆れた表情をしている。

そして彼は思いついたように口を開く。
「そういや、お前・・」
しかし言い終わらないまま、いきなり部屋のドアが開いた。


「用意はできたか?」
扉を開けたのは赤い髪の綺麗な顔をした少年。

誰だろう?
当たり前のように入ってきたがデイダラの知り合いだろうか。

「あぁ。こっちは平気だ。」
デイダラは答える。

赤い髪の少年はあたしの方を向き
「てめぇも支度は当然出来てるんだろうな?」
と尋ねられたので
「あ・・・はい。」
と答えておいた。

きっとこっちで合流するメンバーかなんかだろう。



宿を出て歩きながら作戦会議を始めた。
「旦那、それで今日はどうするんだい?」

この美少年にもサソリと同じ愛称を使うデイダラ。

そういえばサソリはあれだけ偉そうに「待たせるな」とか言いながら来ていない。

「とりあえず1日探索だ。賞金首が見つかり次第、殺れ。」

「そんなんでいいのか。今日の任務は楽だなぁ、うん。」

「油断はするな。今回のやつはなかなかのやり手らしいからな。」

美少年は振り返り
「分かったか小娘!」
と怒鳴る。

小娘って・・・どこかで聞いたことがあるあたしの呼び方。

「おい、サソリの旦那〜。美里はまだ人を殺せるレベルじゃねぇよ、うん。」

デイダラの一言に耳を疑う。
サソリの旦那?

「そんなこと分かってんだよ。だがこの小娘を甘やかす気はねぇ。」

小娘ってサソリがいつもあたしに向かって言っていた言葉じゃないか。

てことは、この人がサソリ?

「サソリさん?」
あたしは恐る恐る美少年に話しかけた。

「なんだ。」
冷たい目であたしを見る美少年。

「うそ、この格好いい人がサソリ?」
思わず口に出して言ってしまった。

するとデイダラが肩を震わせ、「ぶははは!そりゃ言わなきゃ分かんねーよな!うん!」
大きな声で笑い出す。


デイダラはサソリの肩に手をのせて、
「これがサソリの旦那の本来の姿だ。」
ニヤリと笑って言った。

「まぁ、こんなガキみたいな顔して本当はオヤジなんだがな。うん。」

ククク・・・とデイダラが笑う。
そんなデイダラを思いっきりグーで殴るサソリ。

ゴン!と鈍い音が響く。

「いってぇよ!旦那!」
涙目になりながらデイダラは訴える。

そんなデイダラを尻目に、
「じゃあオレは探索を始める。日が沈んだころ、ここに集合だ。分かったか?」
サソリは淡々と話した。


綺麗なサソリの顔は、まだ慣れないけど悪くはないと思った。何気に少しタイプだったりもする。

そして必然的にあたしはデイダラと一緒に行動することになった。

町を歩きながら探索。
サソリに渡された写真をたよりに1人1人顔を確認しながら歩いた。
怪しまれない程度に。


この里はやたら広く、人口もそれなりに居る。
見つかるのだろうか。


「しっかし、あてもなく探し続けることほどだりぃもんはねーな・・・うん」

「そうだね。」

「やっぱさぁ、任務はもっと派手じゃないとつまんねーよな!うん!」

「だよね。」

「早くオイラの芸術見せてぇなぁ〜・・・うん。」

「だね。」

はぁ〜っとデイダラは深いため息をついた。

それを横目で見ると、明らかに不愉快そうな表情だった。

「あのさぁ〜・・・もうちょっと笑うとか驚くとか、なんかしろよ・・・うん。」

「忍に表情なんていらないじゃない。」
あたしは立ちどまる。

デイダラは頭を掻き、
「確かにそうなんだけど・・・うん」
ふてくされたように口を尖らせた。

「感情なんて捨てた方が楽だから・・・。」
デイダラに聞こえない程度の声で呟いた。
しかしデイダラは聞こえていたようで、
「そうだな・・・暁はクールに振る舞わねーとな。」
とぶつぶつ唱える。

「そうだ!クールな中に秘めた情熱!それが芸術家だ!クール=アートだ!うん!」
自分の頭で整理出来たのか、デイダラはクールとは言えない声で叫んだ。

どこがクールなんだか。

単純なデイダラを見ていると、自然と笑みがこぼれた。



ナルトも、あたしに笑顔を与えてくれたっけ。

今更ながら、置いてきたものたちの大切さに気づかされていた。

[*前へ][次へ#]

3/7ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!