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Evidence
新たな始まり
ザァ・・・
ザァ・・・

ホントに運が悪い。
なぜこんなに土砂降りなんだ。傘もない上に行く宛もないのに。

「寒い・・・」
雨のせいでどんどん体温が奪われる。

これからどうすればいいんだろう。
もっと遠くに行って家を探して修行して、
やることはたくさんあるのに何一つクリアしていない。
それどころか寒さで体が動いてもくれない。

寂しい・・・。辛い・・・。

寒さのせいで、すっかりさっきまでの自信がなくなっていた。

木のもとで少しでも雨宿りしようと座る。



「やべぇなこの雨。さっさと帰らねぇと風邪ひくなぁ・・・うん。」

誰かの声がした。
こっちに来る。

逃げる?だけど走る気力はない。


「なんだ?死んでんのか?」
そのままうずくまっていたらやはり見つかった。
あたしはどうなるんだ。

「おい!」
肩を揺すぶられる。顔を上げようにも頭が重くて動かない。

寒いにも関わらず少し体に火照りを感じた。

「起きねーと死んじまうぞ・・・うん。」

それは死んでも嫌だ。



……

「ん・・・」

目を開けると見覚えのない天井が目に入った。
知らない場所だというのは直感で分かる。
でもなぜ生きているんだろう。
体を起こす。

辺りは何もない殺風景な部屋だ。そして日当たりが悪そう。

しばらくそのまま辺りを見回していると、ガチャリ、とドアが開いた。

部屋に入ってきた金色の髪の人と目が合う。
「おっ!起きたのか!うん!」
あたしの前までやってきて青いまん丸とした目でジロジロと見る。
そしておでこを触られた。

「熱は下がったな・・・うん。」
続けてブツブツとその人は言う。
「気ぃ失ってたからオイラがおぶって運んでやったんだぞ。こんなときに限って粘土はなくなっちまうし・・・うん。」

あーつかれた、と金髪で丁髷のその人は肩をほぐす。

ストンとあたしが寝ているベッドの端に座ったその人。

「で、お前は、なにもんなんだ?・・・うん。」
首に冷たい物が当たっている。クナイを突きつけられながら問われた。さっきとは目が人が違うように鋭くなっていた。
忍なんだろう。

「美里。」
クナイが首もとに当たっているが、特に恐怖も感じないので平然と答えた。

「どこの忍だ?・・・うん。」
相変わらず険しい瞳で質問を続ける。

「一応木の葉の忍で、先日里を抜けた。」

「抜け忍か?」

「あたしは忍ってほど忍じゃない。まだ任務もやったことない。」

「忍の卵ってわけか・・・うん。」
そう言って金髪の人はクナイを引っ込めた。
「オイラはデイダラだ!・・・うん!」
デイダラは目を細めて優しい顔で言う。

よく分からないまま、よろしくとだけ言っておいた。

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あきゅろす。
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